阪神・青柳 投げて42日ぶりの2勝目 打っては決勝打 復活のキーワードは“弓”

[ 2023年5月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神6―3DeNA ( 2023年5月12日    甲子園 )

<神・D>2回、2点二塁打を放ち、ガッツポーズの青柳(撮影・北條 貴史)
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 阪神・青柳晃洋投手(29)が12日のDeNA戦で開幕戦以来42日ぶりの2勝目を挙げた。今季最長7回1/3を3失点に抑え、2回には8年目で初の決勝打となる逆転二塁打。同世代の好敵手、今永とのエース対決を制した。首位・DeNAとの直接対決3連戦に先勝し、4月25日以来の1ゲーム差に接近。岡田彰布監督(65)はオリックス時代を含めて監督通算600勝に王手をかけた。

 マウンド上ではなく、二塁上で渾身(こんしん)のガッツポーズを繰り出した。忘れかけていた充実感。青柳からようやく会心の笑みが見えた。

 「ずっと貢献できてなかった。打つ方も少しでも…と思って頑張ってたので、いい結果になって良かった」

 自らのバットで空気を変えた。1点劣勢の2回、直前の木浪が申告敬遠で勝負を避けられた2死一、二塁。今永の148キロ直球を振り抜き、左翼線を痛烈に破った。走者2人を一気に還した逆転二塁打。「勝ってない緊張もあった」。3試合連続の初回失点など不安定な立ち上がりだった自身の背中を押す快打にもなった。投球も立て直し、ゴロを取る本来のスタイルを取り戻して8回途中までリードを守った。

 「梅野さんとも、どんどん前に飛ばしてもらおう、ゾーンで勝負しようと話していた。2回以降は前に飛ばして野手に守ってもらってアウトを重ねる形ができたかなと」

 開幕戦を白星発進しながら3連敗。もがき苦しむ中で“弓”が復活のキーワードだった。1軍が東京遠征中だった4月下旬。残留練習した鳴尾浜で福原2軍投手コーチに助言を求めた。

 「“フォームは悪くないけど、しっかり立ってから投げないと。弓矢をしっかり引いてから放すのに、引き切る前に放してる”という話をしてもらった。確かにそうだな、と」

 改善点が明確になり、左足を上げた時点で前方に体が突っ込む形を微修正。「まず立ってからいくという練習を少ししたら、本当に良くなった」。前回登板でつかんだ手応えを継続し、今季最多の120球。しっかりと引っ張り込んだ“弓矢”は梅野のミットを射抜き、打者のスイングにも負けなかった。

 苦境で手にしたものは一つではない。「信頼されているかもしれないけど、2試合続けて早期降板もして。自分の中でふがいなさもあって…。結果を出さなきゃという気持ちは強いけど、なかなか、うまくいかない。技術よりも気持ちの面で本当に厳しいスタートになった。この経験をプラスに変えられるように」。トンネルを抜け、エースはまた強くなった。(遠藤 礼)

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