花巻東に敗れた美里 たった一人で野球部を守り続けてきた男がいた

[ 2023年5月13日 17:40 ]

沖縄市高校野球県外招待交流試合   花巻東14―0美里 ( 2023年5月13日    コザしんきん )

部員一人になっても野球部を守ってきた古謝(右)と川上監督(撮影・村井 樹)
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 強豪・花巻東に7回コールドで敗れた美里。現在は部員22人が所属しているが、たった一人で野球部を守り続けてきた男がいた。

 「やっぱり思い入れはありますね。よく一人でも続けたと思います」。川上琢也監督がこう話すのは、唯一の3年生部員の古謝陽亮選手。入部当時は3年生がいたが、夏の大会で先輩が引退した後はたった一人に。翌年4月に後輩が入部してくる間、川上監督と2人で野球部を存続させてきた。

 「やっぱり大変なことも多かった」と、振り返った古謝。ノックも打撃練習も川上監督とマンツーマン。近隣の高校に練習参加させてもらうこともあったが、心の中では同じユニホームを着て白球を追いかけたかっただろう。

 2年生になると後輩が15人入部。今年は6人増えた。多くの後輩ができたことで古謝が控えに回ることも多くなったが「最初は思うこともあったと思うが、最後までやり切ろうと二人で話した」と川上監督。この日は7回2死で代打に送られ三振に倒れたが、「何かやってくれそうな子。プレッシャーのかかる場面ではやっぱり古謝」と、誰よりも古謝のことを見てきた指揮官の信頼が揺らぐことはない。

 そんな古謝の高校野球も今夏が最後。恩師を横にして少し照れくさそうにしながらもはっきりと、力強く誓った。「スタメンで出られるようになってヒットも打ち、ホームランも打ちます」。どんな時も努力を続けてきた姿を、野球の神様は必ず見てくれているはずだ。(村井 樹)

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