ドラ1候補の捕手、上武大・進藤が残したインパクト 9球団16人スカウト集結「能力高い」

[ 2023年5月13日 17:51 ]

関甲新学生野球 春季リーグ戦   上武大2―1平成国際大 ( 2023年5月13日    上武大G )

復帰戦で決勝犠飛で勝利に導いた進藤(撮影・柳内 遼平)
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 上武大は2―1で平成国際大に競り勝ち、開幕から7連勝を飾った。今秋ドラフト1位候補の進藤(しんとう)勇也主将(4年)は「4番・捕手」で出場し、3打数無安打1打点。今季初出場となった一戦で決勝の左犠飛を放った。

 久々の公式戦出場で明らかに本調子ではない。タイミングが合わずに3打席凡退が続いた。それでも一振りで決めるから頼れる男だ。

 1―1の8回1死一、三塁で右打席に入った進藤。内角フォークを高々と打ち上げて決勝の左犠飛とした。勝ち越した直後の9回守備では1死満塁のピンチとなるも、最後まで冷静なリードは不変。無失点に導いて2―1で接戦を制した。

 「楽しい。緊張感というか、こういうしびれる中でやるってのは醍醐味かなと思います。凄いプレッシャーの中でも自分のプレーを発揮しないといけない。本当に久しぶりにこういうゲームができてよかった。(打撃の)結果は全然ダメでした。上手く捉えられない感じがありました。明日も試合があるので、しっかり調整していきたいと思います」

 1メートル82、90キロのがっちりした体型、リーグ通算10本塁打で強豪の4番を担う強打、約200人の部員を統率するリーダーシップ、3年生ながら昨年の大学日本代表でマスクをかぶった捕手としての守備力と経験値。プロの捕手として求められる全ての能力を備えるアマチュアNo.1捕手、それが進藤勇也だ。この日は9球団16人のスカウトが群馬県にある上武大野球場を訪れ、「超豊作年」とされる今秋ドラフトで1位候補に挙がる逸材に目を光らせた。

 二塁に矢のような送球を突き刺す強肩、明らかなボールはミットを流し、きわどいボールはミットを止めて「ストライクコール」を呼び込む絶妙なフレーミング、ピンチでも表情は不変で、監督と投手の継投タイミングについて意見を交わす野球脳。捕手としてのセンスがキラキラと輝く。ヤクルトの小川淳司GMは「久しぶりに見ましたね。非常に捕手としての能力が高いと感じました。キャッチングもスローイングもレベルが高い」と絶賛。さらに「右中間に長打も打てる」と1人の打者としても高く評価した。

 ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長は筑陽学園(福岡)時代から成長を見守ってきた。広角に長打を放つ長距離砲としても注目の右打者を「高校生の頃からずっと見ています。順調に成長して高いレベルまで来た。高校生の頃はどちらかというと、スローイングが安定していた守備型の捕手でした。やっぱり大学に入って打者としても明らかに良くなりました」と評した。

 故障も成長の糧とする人間性も大きな魅力。3月中旬には右手首を痛め、リーグ戦の開幕には間に合わず。それでも「ケガをして(気分が)落ちるのではなく、チームを見直す時期としていいと思った。自分だけではなく、メンバー以外の人たちがどういう思いでサポートしてくれているのか考えた。(ベンチ入り)メンバーとしてどれだけ人を思えるか」と主将としてチームを俯瞰(ふかん)した。

 「一番信頼されるキャッチャーになりたい。高い目標を持ちたいので、自分の中でしっかりと計画を持ってやっていきたいです」。高みを目指す男の価値は勝ち上がるたびに上がっていく。(柳内 遼平)

 ◇進藤 勇也(しんとう・ゆうや)2002年(平14)3月10日生まれ、福岡市出身の21歳。福重小3年時からソフトボールを始め、内浜中1年時から糸島ボーイズで野球を始める。筑陽学園(福岡)では3年春、夏の甲子園に出場。上武大では1年秋からベンチ入り。憧れの選手はソフトバンク・甲斐、楽天・炭谷。1メートル82、90キロ。右投げ右打ち。

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