「ゼロで死ぬ…」メジャー初勝利・藤浪が歩む野球への後悔がない旅…キャリア観を変えた1冊の本

[ 2023年5月13日 16:11 ]

レンジャーズ戦で好リリーフ。メジャー初勝利を手にした藤浪(AP)
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 昨年、「良かったら読んでみてください」と藤浪に1冊の本を勧められた。「長いスパンで人生を捉えた中で考え方がちょっと変わりましたね。“ゼロで死ぬ”っていう…」。後日、鳴尾浜で手渡されたのは「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」(ビル・パーキンス著、ダイヤモンド社)というタイトルの本だった。

 資産をため込むのではなく、自身の良質な経験のために惜しみなく使え――。喜びを先送りせず自分の人生を豊かにすることに意識を向けて何も残さず“ゼロで死ぬ”。野球とは無関係に見えてもキャリア観という部分では腹落ちすることが少なく無かった。

 昨年12月、まだ所属球団も決まっていない時期だったが、藤浪は語気を強めた。「極端な言い方にはなりますけど来年、アメリカに行って肩を壊して引退することになってもいいと思ってるんです。自分が死ぬ時に後悔したくないので」。

 防御率12点台が物語るように、先発からの配置転換、中継ぎでも苦投が続き「挑戦」と位置づけるアメリカでの日々は困難の連続だ。そんな中で、ようやくつかんだメジャー初勝利。一生を終える時に野球への後悔がないように。“ゼロで死ぬ”藤浪の旅は続く。 (阪神担当・遠藤 礼)

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