阪神・佐藤輝 75打席目1号で完全復活に手応え 岡田監督も「きっかけになるやろうなあ」

[ 2023年4月27日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神4―8巨人 ( 2023年4月26日    甲子園 )

<神・巨>5回無死、佐藤輝は右越え本塁打を放つ(撮影・平嶋 理子)
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 やっと出た!阪神・佐藤輝明内野手(24)が、今季初の甲子園での伝統の一戦となった26日の巨人戦で、待望の1号アーチを放った。5回先頭で巨人・戸郷翔征投手(23)から右越えソロ。今季20試合、75打席目のシーズン初本塁打はプロ3年目で「最遅」で、チームとしても甲子園7試合目で生まれた初アーチだった。これを口火に一挙4点奪い反撃。この日の勝利にはつながらなかったが、豪快な一撃を巻き返しの号砲とする。

 長くさまよい続けた暗闇を、佐藤輝らしい豪快なアーチで抜け出した。5点劣勢の5回先頭。重苦しい空気を、そのバットで振り払ってみせた。

 「久々に打てたんで、よかった」

 初球のフォークを空振りし、2球目。内角高めを狙った戸郷の直球が、やや甘く入ってきたのを見逃さなかった。浜風をものともせず、打球速度172キロ、飛距離131メートルの打球が右翼スタンドに着弾。「ウル虎ユニホーム」で臨んだ、今季初の甲子園での伝統の一戦で、聖地は割れんばかりの大歓声に包まれた。「盛り上がったんで、よかった」。今季20試合、75打席目はプロ3年目で最も遅い1号。待望の一撃は、防御率0・89、被弾0でこの一戦を迎えた戸郷からの価値ある本塁打でもあった。

 「いい感触で打つことができたし、久しぶりにダイヤモンドを一周できて気持ちよかった。ここまで時間かかってしまったので。でも変わらずに、しっかり頑張りたい」

 一塁ベースを回ったところで控えめに右手を掲げたが、表情は硬いまま。ベンチの出迎えに応え、チームメートを鼓舞するように声を張り上げた。打線はこの一発を口火につながり一挙4得点。チーム全体の雰囲気を一変させるパワーを、この男は持っている。

 開幕から持ち味の豪快な弾道は鳴りをひそめ、試合前まで打率・175。この日はオーダー変更を受け、今季初めてクリーンアップから外れて6番に座っていた。だが、21日からの中日3連戦を終え「(状態は)上がっていると思う」と、浮上の兆しをつかみ取っていた。雨天中止になった前日は室内練習場で特打。「ポジティブに頑張ります」と自らの打撃に向き合い続けた。

 岡田監督も「昨日(25日)の室内から良かった。昨日(本塁打が)出る言うてたけどな。(復調の)きっかけになるやろうなあ」とうなずいた。三塁守備では、8回1死二塁からオコエの打球をファンブルして失策を記録し、直後の長野の3ランの引き金になった。もちろん試合後の背番号8に笑顔はない。「徐々に良くなっていると思うので、それを信じて頑張ります」。佐藤輝の完全復活が、猛虎打線を波に乗せる。(阪井 日向)

《佐藤輝過去のシーズン1号》
 ☆21年 3月27日ヤクルト戦(神宮)初回に田口からプロ初安打の中越え2ラン。12球団新人一番乗りで、開幕2試合目は56年大津淳に並ぶチーム新人最速。すでにオープン戦で6本経験も「全然(うれしさが)違いますね」

 ☆22年 開幕10試合目の4月5日、DeNAとの甲子園開幕戦。1―0の初回にロメロから放った右越え2ランはチームの甲子園1号。リードを広げ、開幕からの連敗を9で止めるシーズン初勝利に貢献した。

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