阪神・岡田新監督 十分な先発投手に加えて「正捕手がいるチームは安定して戦える」

[ 2022年10月23日 07:00 ]

扇の要として前岡田監督時代を支えた矢野
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 【連載・岡田の考え(6)】岡田彰布監督の基本は「守りの野球」だ。手堅いゲームプランに徹しながら、勝機を見いだす。バッテリーに対する考え方にも、それは踏襲されている。

 「打てるものなら打ってみろ」と投げ込む投手はプラス思考だ。自らの球に自信がないと、相手と勝負することはできない。だからこそ、リードする捕手はマイナス思考で、常に冷静、慎重であることが望ましいと岡田は考える。プラスとマイナスがあってこそのバッテリー。どちらもイケイケでは、いつかは炎上してしまう。

 だから岡田は「半信半疑で投げたらあかん。お互い納得の球で勝負するべき」と常に言い続けてきた。「これでいいんか」「大丈夫かな」の球では返り討ちにあう。そうした例を、岡田は何度も見てきた。配球で「相手の裏をかく」という発想がある。だが、岡田の考えではこれも危険な発想だ。野球では「うまく裏をかくことができた」というコメントより「裏をかくつもりだったのに…」というコメントが圧倒的に多い。相手も打席で必死に考えている。「表」と「裏」は分からないのが普通だ。裏をかこうとするリードより、大きな傷口にはならないというリードを求めているのだ。

 「捕手は察しないとあかん。配球に正解はないけど、間違っているという配球はある」というのも口グセだ。基本は外角。一発長打にはなりにくい。そこに打者が踏み込んできたときには、組み立てをまた考える。その繰り返しだ。

 先発投手の柱に、岡田が求めているのは(1)1年間ローテを守ること(2)5つ以上貯金をつくれること、の2点だ。青柳晃洋を中心に、先発陣の質と量は優勝できるレベルにあると、岡田はネット裏から見てきた。今後のバッテリーの課題は第一に正捕手問題だ。

 岡田の持論は「正捕手がいるチームは安定して戦える」。前回の阪神監督時代も矢野輝弘(現耀大)を一貫して起用した。だが、その矢野監督時代に、阪神は捕手を固定できなかった。今季のスタメン捕手は梅野隆太郎が80試合、坂本誠志郎が50試合。昨年は梅野が125試合、坂本が18試合。一昨年は梅野が86試合、坂本が24試合の数字が残っている。

 「チームの要やから、ある程度、おまえがレギュラーやという感じで使わないと」と岡田は言う。日替わり捕手でいい、という発想はない。甲乙つけがたい2人の捕手の考え方、行動を把握しながら、正捕手を絞り込む。=敬称略=(鈴木 光)

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2022年10月23日のニュース