加藤学園3年ぶり初戦突破！1年の片山が9回サヨナラ打

秋季高校野球・東海大会1回戦   加藤学園6―5至学館 （ 2022年10月22日    草薙 ）

＜至学館・加藤学園＞9回左前にサヨナラ適時打を放ち、スタンドに向かって右手を上げる加藤学園の片山
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　来春選抜の参考資料となる第75回秋季東海地区高校野球大会が22日、草薙と清水庵原の両球場で開幕し、1回戦が行われた。静岡県勢が明暗を分けた。2年ぶり4度目出場の加藤学園（静岡）は昨年4強の至学館（愛知）にサヨナラ勝ち。5―5の9回、2番の片山晴貴捕手（1年）が3回途中から5安打1失点と好投してきた左腕・吉川慧（2年）を救う左前適時打を放ち、3年ぶりに初戦を突破した。5年ぶり8度目出場の常葉大橘（静岡）は海星（三重）に2―4で逆転負けし、初の選抜の望みが薄くなった。23日の2回戦には加藤学園とともに常葉大菊川（静岡）が登場する。

　外角直球を狙い通り強引に引っ張った。9回無死一、二塁。片山の気持ちを乗せた打球は三遊間を破り、二塁走者の安東飛雅遊撃手（2年）はちゅうちょなく三塁を蹴った。相手左翼手がもたついたのも手伝い劇的すぎるサヨナラ勝ちだ。一塁を回ったところで右手を上げたヒーロー。あいさつを終えると、夕陽を背に仲間とともに最高の笑顔が映えた。

　「チームに何も貢献できていなかったので“絶対打ってやる”と思いました。チーム全体で勝ち取った勝利。ホッとしました」

　過去4打席は無安打に終わっていた。9回のチャンスでは、続く曽根敬大右翼手（2年）が3安打2打点と大当たり。米山学監督（44）も「もちろんバントは考えました」と明かし、実際に「バントをやるか！？」と確認のサインを送っていた。しかし、打ち気万々で「やりません」と首を振った。気迫が全てを勝った。

　至学館というチームはしつこく、接戦は覚悟できていた。2回に2点を先行しても、即座に先発左腕・大木漣（2年）が制球難で自滅。4点を奪われ1度は逆転を許した。3回途中からは同じ左腕の吉川が走者を背負いながらも粘投。5回は2死からの連続失策にも踏ん張り、6回には無死から3連続のバント攻撃でかき回されながら、ホームを許したのはこの回の1点だけだった。チームを鼓舞し続けた主将の太田侑希中堅手（2年）は「みんなが笑顔で集中力を切らさずにできました」と振り返り「1年の片山は心強い。でも、今日はチーム全員がヒーローです」と胸を張った。

　最速を3キロ更新する136キロの直球とスライダーで流れをつくった吉川も「いつもより球も走ったし、低めを意識して投げました」とすがすがしい表情。3年ぶりの“春”へ勢いは加速した。（小澤　秀人）