“大谷資金”捻出しただけ 中途半端なエンゼルスのトレード 78億円削減も「?」連発

[ 2022年8月4日 02:30 ]

<エンゼルス・アスレチックス>練習を終えてひきあげる大谷(撮影・大森 寛明)
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 地区首位のアストロズに22ゲーム離されているエンゼルスは、トレード期限前に「売り手(Seller)」に回った。最終日に主力3人を放出。しかし、交換で獲得した選手の顔触れを見ると、中途半端感は否めず、迷走ぶりが見て取れる。

 1年契約で今季終了後にFAとなる右腕シンダーガードの放出は既定路線だが、抑えのイグレシアスと24歳の外野手マーシュは「大谷は今夏は出さない」との方針決定を受けての動きだろう。イグレシアスは今季は安定感を欠いているとはいえ、昨オフに4年契約で延長したばかり。その交換相手の一人が38歳の救援投手チャベスというのは、方向性が見えない。大谷を放出すれば、有望株を4、5人獲得することができたが、将来の正捕手候補であるオホッペを獲得するために1対1の交換で生え抜きのマーシュを出してしまった。フィリーズから獲得したモニアクは16年全体1番目指名の外野手だが、今季までメジャー出場は47試合と伸び悩んでいる。

 米メディアによると、イグレシアスの残り3年間の年俸分を含め、今回のトレードで5900万ドル(約78億円)を削減できる計算になるという。おそらくエ軍は大谷との契約延長資金に回すのだろう。ただ、大谷の年俸は4000万ドル(約53億円)を超えるとみられており、2年分にも及ばない。トラウト、レンドンという故障がちな高年俸選手も抱えており、ぜいたく税の支払い覚悟でチーム総年俸を引き上げないと、「超高給取り」と「低年俸の若手」だけといういびつなチーム構成は来季以降も解消されない。

 今回、エ軍は大谷獲得を狙う球団のトレード打診に耳を傾けた。ヤンキースやメッツ、ドジャースなどの金満球団がどの程度の選手を見返りに用意するのか、大谷の「市場価値」を測る意味合いがあったと思う。オフの契約延長交渉が難航した場合、開幕前のトレードに踏み切る可能性は高い。その決断が遅くなれば、再建へのリスタートもそれだけ遅れることになる。(甘利 陽一)

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2022年8月4日のニュース