初出場の有田工　勝利ならずも支援受けた地元に感謝　悲願の夏勝利へ上原主将「どこからも点取れる打力を」

第94回選抜高校野球大会　1回戦   有田工2－4国学院久我山 （ 2022年3月22日    甲子園 ）

＜国学院久我山・有田工＞　初戦で敗れ肩を落とす有田工ナイン（撮影・大森　寛明）
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　最後まで涙はなかった。有田工ナインは初めてのセンバツを心から楽しんだ。3安打2打点と奮闘した主将の上原（かんばる）風雅捕手は「楽しかった半面、悔しい」と語りながらも、「自分たちの野球はできたかなと思う」と胸を張った。

　未明から降り続いた雨の影響で約3時間半遅れで始まり、3回までに2点のリードを奪われた。反撃開始は4回だ。上原が2死二塁で中前適時打。3点を追う8回にも左前適時打を放ち、スクールカラーの赤色で染まった三塁側スタンドを盛り上げた。「アルプスに届いてくれれば」。機械科に属している上原は塁上でマシンを意味するMのポーズで喜んだ。

　守りでは捕手としてエースの塚本侑弥（3年）をもり立てた。4回2死一塁では作戦を読み切りウエストして二盗を封じた。冬場の練習では捕手出身の梅崎信司監督が紅白戦でマスクをかぶり、上原は相手チームの捕手として対戦。配球面や声掛けなどのレクチャーを受け、指揮官は「秋からの成長が見えたと思う」と評価した。

　学校がある有田町が選手を支援するクラウドファンディングを実施するなど、街ぐるみの応援を受けたセンバツだった。「地元に戻ったら感謝の気持ちを伝えたい」と上原。攻撃力を夏に向けての課題に挙げ、「どこからも点が取れる打力をつけたい」と誓った。　（杉浦　友樹）