国学院久我山 形に表したイチロー氏に学んだ「考え方」

[ 2022年3月23日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第4日第1試合・1回戦   国学院久我山4―2有田工 ( 2022年3月22日    甲子園 )

<国学院久我山・有田工>3回、木津はセーフティバントを決める(撮影・大森 寛明)
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 【秋村誠人の聖地誠論】きっとどこかで見てくれている。そんな思いが、国学院久我山(東京)の選手たちを躍動させているように見えた。雨で試合開始が3時間半近くも遅れた第1試合。だけど、凍えるような寒さも感じさせなかった。

 あのイチロー氏に直接指導を受けたのは昨年11月。盗塁のスタートなど細かい技術面もさることながら、球児たちにとって大きかったのは「考え方」だったのではないかと思う。4日の組み合わせ抽選のとき、上田太陽主将は最も心に残った教えは「考え方です」と話していた。

 3回1死無走者で3番・木津寿哉は三塁前へセーフティーバントを決めた。この場面で一番いいのは長打だが確率は低い。塁に出るには?と考え、3番打者で三塁手が前に出ていないのを見て試みたのではないか。この一打が2点目に結びついた。5回には同じ1死無走者で今度はバントの構えを3度も見せて揺さぶって四球。いずれも当たり前のプレーに見えるが、そこには状況をしっかり見て「どうするか」を考えた跡がうかがえる。イチロー氏に教わった「考え方」が、形に表れたように感じた。

 野球は考えるスポーツ。どうしたら球が速くなるか、どうしたら打てるか…。人に言われたままやるのではない。自分で考えて投げて、打って、走る。だから「考え方」一つで大きく変わる。

 以前なら元大リーガーにグラウンドで直接指導を受けることなどできなかったが、プロアマの雪解けが進み、13年に学生野球資格回復制度が制定された。長い年月を経て実現した直接指導で、その教えを甲子園で体現してみせた国学院久我山の選手たち。イチロー氏はどう見ただろうか。(専門委員)

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2022年3月23日のニュース