国学院久我山 イチロー氏指導効果で44年越しセンバツ初勝利!成田2失点完投&2安打2打点

[ 2022年3月23日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第4日第1試合・1回戦   国学院久我山4―2有田工 ( 2022年3月22日    甲子園 )

<国学院久我山・有田工>センバツ初勝利を挙げ、アルプススタンドに向かって笑顔で駆け出す国学院久我山ナイン(撮影・北條 貴史)
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 1回戦3試合が行われ、国学院久我山(東京)が有田工(佐賀)を4―2で下して2回戦に進出した。天候不良で試合開始が約3時間半も遅れる悪条件ながら先発の成田陸投手(3年)が2失点完投。チームは初出場した79年から44年越しとなる春初勝利を挙げた。

 強い雨が甲子園の銀傘を叩いていた午前6時。成田は宿舎で心境を母・律子さん(49)にLINEした。「緊張緊張…」。初めて背負う背番号1のプレッシャーを「緊張」と34度も書いて表現。とても平常心ではなかったが「教え」が心の支えになった。

 昨年11月に日米通算4367安打を誇るイチロー氏(48=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)から指導を受けた。この日は降雨で3時間28分遅れの午後0時28分に試合開始。気温7度で足場もぬかるむ悪条件も、マウンドで自らに言い聞かせた。「野球は1人ではなく、9人でやる…」。イチロー氏から学んだ野球の原点であり鉄則だった。

 身長1メートル73の右腕は130キロ前半の直球とスライダーで外角を丁寧に突いた。9回までに126球を投じ7安打2失点で完投。打者でも2安打2打点と躍動した。7回2死二塁で詰まりながら運んだ中前適時打は「イチローイズム」が生んだフルスイングによる一本。右翼へ痛烈な打球を連発するイチロー氏の姿から「120%の力」でスイングすることの重要性を実感した。

 チームは待望のセンバツ初白星。イチロー氏から大会前に「試合は見てますよ」とメッセージを受けていた尾崎直輝監督は「イチローさんの思いは甲子園に持ってきた。ようやくセンバツで1勝できた」と胸を張る。31歳の指揮官は小学2年でイチロー氏に憧れを抱いて野球人生をスタートさせた。憧れの存在からの教えを実践し「指導者、一ファンとしても最高に幸せな時間でした」と改めて感謝した。

 指導後、イチロー氏から授かった黒いバットは定期的にバックネット裏に飾られ、ナインの成長を見守った。20年12月に同氏から指導を受けた智弁和歌山は昨夏の甲子園を制した。春1勝で満足はしない。「同門」として同じく頂点を目指す。(柳内 遼平)

 ◇成田 陸(なりた・りく)2004年(平16)8月15日生まれ、東京都国分寺市出身の17歳。小4から小平ライダースで野球を始め、国分寺二中では軟式野球部に所属。国学院久我山では今春から背番号1。50メートル6秒5。遠投85メートル。憧れの選手はイチロー。好きな言葉は「背水の陣」。1メートル73、80キロ。右投げ右打ち。

 ≪手紙送った田村さん「後輩がたくましく」≫昨年11月にイチロー氏から指導を受けるきっかけの手紙を送った野球部OBの田村優樹さん(18)がスタンドで観戦した=写真。同氏とは行きつけの飲食店で偶然居合わせてあいさつし、その後にマネジャーを通じて手紙を送ったところ指導が実現。「イチローさんが来られて練習内容というより、練習の中でどういうことを意識するかが変わった。後輩たちがたくましく見えました」と語った。

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