エンゼルス・大谷“進化球”スプリットチェンジ 実戦初登板で8球試投、芯外して球数減らせるメリット

[ 2022年3月23日 02:30 ]

オープン戦   エンゼルス5ー8ロイヤルズ ( 2022年3月21日    テンピ )

<エンゼルス・ロイヤルズ>OP戦初登板で力投する大谷(撮影・光山 貴大)
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 新たな「宝刀」が生まれる予感だ。エンゼルスの大谷翔平投手(27)が21日(日本時間22日)、実戦初登板となるロイヤルズとのオープン戦に先発。2回1/3を3安打1失点、5奪三振で最速99マイル(約159キロ)と好投した。同時に、昨季後半から投げ始めたというスプリットとチェンジアップの中間球「スプリットチェンジ」を試投。引き出しを増やして自身メジャー初の2桁勝利をクリアし、さらなる飛躍を遂げる。

 従来のスプリットより人さし指と中指を広げ、縫い目にかけない独特の握りだった。3回無死。大谷はガルシアをワンバウンドしたボールで空振り三振に仕留めた。「自分でもよく分かってない球」とけむに巻きつつ「チェ(チェンジアップ)なのか、スプリットなのか、中間球みたいな球」とヒントを残した球種。右腕をさらなる進化へ導く魔球だ。

 スプリットより落差が小さく、チェンジアップより速い91マイル(約146キロ)前後のこの球は、日米通算170勝の松坂大輔氏(本紙評論家)やツインズ・前田が得意とする「スプリットチェンジ」とみられる。この日はスプリットを封印する代わりに、全50球中8球(空振り3、ファウル2、ボール3)投じた。乾燥気候のアリゾナは球が滑りやすく、変化は安定しなかったが、左打者の外角へ沈むような軌道も描いた。

 実は昨季も既に投げていた。「(シーズンの)後半、特に。カウント球や2ストライク後の球。自分の使いたいカウントで(投げ)分けていた」。自慢の直球とスプリットのコンビネーションは三振を量産できるが、球数は増える。スプリットより小さな変化でバットの芯を外せば球数が減り、長いイニングを投げられる。また、スプリット多投により試合終盤に握力が低下するリスクも減る。昨季の後半戦は11試合中9試合がクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)。昨季から本格的に投げ始めたカットボールとスプリットチェンジが効果を生んでいた。

 今春の実戦初登板で直球の最速は99マイル(約159キロ)を計測し、2回1/3を投げて3安打1失点、5奪三振。ジョー・マドン監督からは「素晴らしかった。直球の制球も良かった」と称えられた。4月7日(日本時間8日)の開幕・アストロズ戦まで残り約2週間。メジャー5年目で初の開幕投手の筆頭候補に挙がる中、シーズンまでの登板ペースは首脳陣と話し合って決める。

 19日のダイヤモンドバックス戦では適時打を放つなど、打者としても順調。昨季あと1勝で逃した1918年のベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」へ期待が膨らむ。ロックアウトにより短縮されたキャンプ期間にあっても「駆け足の中で、焦らずにしっかり調整したい」と冷静だ。投打で磨きをかけるため、試行錯誤を重ねる。(柳原 直之)

 ▼エンゼルス・スタッシ(大谷とバッテリー。スプリットを投げていなかったと聞き)本当に?スプリットだと思っていた。私はブロックをするだけ。(投球全般は)昨季よりさらに凄くなっている。彼は今年はるかに良い状態にある。

 ≪変化少ないが球速調節&制球しやすく≫▽スプリットチェンジ 日本選手では10年にレッドソックスの松坂が投げ始めた。通常のチェンジアップよりも変化は少ないが、その分スピードの調節や制球をしやすいメリットを求めた。楽天・田中将はヤンキース在籍時 の17年、通常のスプリットよりも2、3マイル(約3~5キロ)遅くして緩急をつける目的で取り入れた。

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2022年3月23日のニュース