「おじいちゃん、頑張ってるよ」 天理・戸井主将 亡き祖父との日本一の約束は夏に必ず

[ 2022年3月23日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会 1回戦   天理4-5星稜 ( 2022年3月22日    甲子園 )

<天理・星稜>4回 2死 右中間二塁打を放つ天理・戸井(撮影・成瀬 徹) 
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 【いっちーの球春胸キュン日記】天理の戸井零士主将は亡き祖父に全力プレーを届けました。

 「自分も野球したい!」小学1年の時、祖父・加藤英男さんと観戦した日本ハムの試合で、ダルビッシュ有投手(現パドレス)の投球に魅了され野球を始めました。成長の源は徒歩1分の距離に住む祖父が毎日のように打ってくれたノック。「結構うまかった」ことで鍛えられ、U12日本代表にも選ばれました。

 そんな孫思いの英男さんが入院したのは中学生の時。休みのたびにお見舞いに行き、「甲子園で日本一になってプロ野球選手になる」と約束しました。もちろん、英男さんにとっても自慢の孫。零士君の写真を手に「野球で活躍した!」と看護師さんにうれしそうに話していたといいます。

 零士君が天理のユニホームに袖を通す前に誤嚥(ごえん)性肺炎のため78歳で他界しましたが、入学直後から出場機会をつかみました。昨春の選抜も背番号5で出場。ただ、チームは4強も自身は1安打と悔しい春でした。うまくいかなかったこの1年も“祖父との約束”があったから乗り越えたといいます。

 3番遊撃で先発出場した星稜戦は第2打席で右中間を破る二塁打を放ちました。延長の末に4―5で敗戦も「ベストはつくせた。おじいちゃん、頑張ってるよ」。日本一の約束は夏に果たします。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー兼ピラティスインストラクター。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。昨年からは早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に在学し、野球選手の障害予防について研究中。

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