松井さん、勝ちました!星稜 「8回」踏ん張り、30年前の雪辱 今大会最後に勇退する林監督も喜び

[ 2022年3月23日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会 1回戦   星稜5-4天理 ( 2022年3月22日    甲子園 )

<天理・星稜> 延長11回(星)2死一、三塁、敵失で走者二人が生還し、盛り上がる星稜ベンチ(右端は林監督)(撮影・大森 寛明)
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 1回戦3試合が行われ、今大会で退任する林和成監督率いる星稜(石川)が天理(奈良)との延長戦を制し、逆転負けした30年前のリベンジを果たした。

 30年ぶりの名門対決で、星稜がリベンジを果たした。「選手たちが常にしっかり考えて、自分たちにできることをやったのが勝利につながった」。今大会を最後に勇退する林和成監督は、喜びをかみしめた。

 よみがえる当時の記憶とともに、指揮を執った。自身も2年生で出場していた92年春の準々決勝。1学年先輩で巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏と三遊間を組んでいた。「思い出しました。流れも似ていたから」。30年前も星稜は2回に1点を先制したが、8回に5点を失い敗れた。

 「あのときは8回でバタバタと崩れた。でも今回は8回に同点で踏ん張った。それがポイントになった」

 2点差を追いつかれ、なおも続いた2死満塁をしのいだのが勝因。就任以来「カズらしい野球を目指せ」とエールを送ってくれた先輩に、吉報を届けた。

 延長11回の決勝点は「耐えて勝つ」の信念が結実した。1死二、三塁から、この試合2度目のスクイズ失敗。それでも、指揮官は仕掛け続けた。コロナ下で練習時間の制約がある中で取り組んだ2死一、三塁からのサインプレーを敢行。一塁走者がわざと挟まれる間に1点を取る狙いが、一塁手の三塁悪送球を呼び決勝の2点を奪った。「打者の空振りを見て、ランナーを動かすことにした。先手で仕掛けないといけないと思っていた」。執念が呼んだ監督としての甲子園通算12勝目だった。

 先発した沖縄出身のマーガード真偉輝キアンも手元で動くカットボールを軸に、7回まで無失点に抑えた。米国出身でレスリングの選手だった父・マイケルさん(54)譲りの1メートル86、90キロの体でマウンドを死守。11回2死三塁では伝令に立ち「こんなことないから、なにか面白いことを起こそう」と林監督からのメッセージを伝えた。一日でも長く恩師と過ごすために――。背番号1は「優勝して恩返しをしたい」と燃えていた。 (鈴木 光)

【星稜VS天理 過去の甲子園大会】
 ▽76年夏 のちにプロ入りする星稜・小松辰雄、天理・福家雅明の投げ合い。小松は4回に自らを援護するソロを放ち168球で完投。
 ▽92年春 星稜は2回に犠飛で先制。天理は8回に連続四球で得た好機から失策も絡んで5点を奪い逆転。星稜・松井秀喜は2打数1安打2四球。

 ▼星稜・武内涼太(8回途中から2番手で登板。延長11回に右ヒジ付近に死球を受けながらも、リードを死守)ずっとハラハラしてたんですけど、もっと楽しもうと思って投げた。アドレナリンも出て痛みは感じなかったけど、試合後に少しずつ来てます。

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