阪神・マルテに期待する「ミスター3ラン」今岡の面影 戻った勝負勘、後半戦5発中4本が3ラン

[ 2021年10月3日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神3-0中日 ( 2021年10月2日    甲子園 )

<神・中22>お立ち台のマルテとともにラパンパラのポーズを決める満員のライトスタンドの阪神ファン(撮影・北條 貴史)
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 【畑野理之の理論】ジェフリー・マルテが3ランを放ち、高橋遥人が完封で3―0の勝利。まさに投打のヒーロー2人がお立ち台に並んでお互いをたたえ合っていた。今の高橋の力をもってすれば初回の「3点」は十分すぎる。「最初に3点取ってもらってありがたいです」。危なげなく9回を投げきっていた。

 初回、近本光司と中野拓夢の連打で無死一、三塁。マルテの打席の初球に中野が二盗を決めて二、三塁となり、ここで中日の内野陣は前進して1点もやりたくないシフトに変えた。高橋を相手に、先制点はかなりのハンデになるとの判断だろう。しかしフルカウントからの8球目、外角高め133キロスライダーを左翼席に放り込んだ。2試合連続の3ランは、相当なダメージを与えた。

 結果論だが、これで「勝負あり」だった。もしも1点のみだったら、まだ中日打線は何とかして、どんな形でも…と勝機を見つけてきたはずだ。2回以降の展開も変わっただろうし、守る側も一人の走者を出しただけでプレッシャーがかかる。しかし3点となると、中日は回を追うごとに走者をためて打つしかなくなり、采配も限られる。

 今季の阪神のチーム総本塁打は112本で、内訳はソロが61本(54%)、2ランが39本(35%)、3ランが10本(9%)、満塁弾が2本(2%)。走者を2人以上置いてとなるとかなり減少するが、その分、当然、勝率はグッと上がる。3ランを打った試合は9勝1分け、満塁弾は2勝――と今季は負けなしだ。ちなみに集計の残る2リーグ制以降、阪神のシーズン最多3ランは優勝した05年の今岡誠の8本で、やはり8戦全勝というデータが残っている。今季ここまでのチーム最多はマルテの4本。まだまだ「ミスター3ラン」と呼ぶのは早いが、ただ、後半戦に入ってからの直近5本のうちの4本なのでインパクトがある。

 ★17号3ラン(9・11広島戦)
 ★18号3ラン(9・14ヤクルト戦)
 ★19号2ラン(9・24巨人戦)
 ★20号3ラン(10・1中日戦)
 ★21号3ラン(10・2中日戦)

 長いプロ野球の歴史の中でシーズンで10本以上の3ランを打った選手は9人(のべ11度)しかいない。それだけ難しい。複数の走者がいると単打でも得点できる――。場合によっては犠飛でも内野ゴロでも…の考えになるのかもしれない。

 そういえばプロ野球の中で「3」という数字がよく区切りとなっている。代表的なセーブシチュエーションは3点差以内のリードで1イニング以上投げることであり、クオリティースタートも6回以上を自責3点以内…。セーフティーリードとは言えないまでも、少し安全圏に近づいているのだろうか。ここにきてマルテが勝負強くなっているのは、確かだ。 =敬称略= (専門委員)

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2021年10月3日のニュース