現役東大合格を輩出した仙台一野球部の夏 勉強に必要な集中力と体力を野球で鍛える

[ 2020年7月14日 09:30 ]

初戦に勝利した仙台一ナイン。左が千葉厚監督(撮影・柳内 遼平)
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 苦しみ抜いた末、仙台一は延長タイブレークを制した。今月11日の宮城県代替大会2回戦、小牛田農林戦。1―1で迎えた10回に捕逸で勝ち越し、その1点を守った。昨秋8強のシード校が好機にあと一本出ず、初戦から苦戦。それでも、試合後の千葉厚監督は顔に笑みを浮かべていた。

 「ギリギリの勝利こそ生徒の成長のチャンスなんです。選手たちには試合前、全試合1点差で勝っていこうと声をかけていました」

 10回の守備では、1死二、三塁と一打逆転サヨナラ負けのピンチを切り抜けた。辛勝こそ成長の糧――。指揮官にとって、最高の内容と結果だったのかもしれない。

 県内有数の進学校としても有名な仙台一。今年3月に卒業した野球部員で、1人が現役での東大合格を勝ち取った。「うちは二兎(と)も三兎も追う、欲張るスタイル。勉強か野球のどちらかを捨てる考えは一切ない。勉強において大切な集中力と体力は野球で鍛えることができます。(現役東大合格で)その思いを実現してくれたのは大きい」。偉業を成し遂げた先輩に刺激を受けた今年の3年生投手2人も、東大に挑戦する予定だ。

 3年の夏は、高校球児としては最後のシーズンであると同時に、来年の進路を決める上でも大事な時期。今年は甲子園という目標もなくなっただけに、選択を押しつけることはしない。「コロナ禍の先行きが見えない状況で3年生1人が退部を選択しました。でも、変わらず今日も一緒に戦いました」。勉学にかじを切った元部員は日々の練習メンバーからは外れたものの、この試合のボールボーイを務め、同じグラウンドに立っていた。

 6月からは元楽天の枡田慎太郎氏がコーチに就任。エース・奥山虎太郎(3年)は力みを抑え、打者は狙い球を絞って打席に入るようになった。千葉監督は「枡田コーチの言葉は重みが違います。技術的にもメンタル的にも生徒に好影響が出ています」と効果を口にし、「今年は県制覇の兎を追いますよ」と言葉に力を込めた。

 どこまでも前向きで貪欲。そして、苦境を力に変える仙台一の姿は、コロナ禍の夏に、ひときわ光って見えた。(記者コラム・柳内 遼平) 

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