高田のエース・佐藤 5球団スカウトの前で自己最速140キロ連発 阿久悠さんの詩に感銘を受けて入学

[ 2020年7月14日 05:30 ]

岩手大会1回戦   高田12―2花北青雲 ( 2020年7月13日    しんきん森山 )

力投する高田・佐藤眞尋投手
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 高田のエース右腕・佐藤真尋(3年)が、自己最速タイの140キロを連発した。10点リードの7回、3番手として中堅からマウンドへ。全国的には無名だが、プロ5球団のスカウトが見守る前で1回を無安打無失点、1奪三振で7回コールドの勝利を締めた。「(雨で)マウンドの状態が良くなかったが、踏ん張る意識で対応しました」。初回と7回には適時打を放ち、投打で奮闘した。

 中学時代に県選抜で全国大会に出場。佐藤が地元の高田に進学したのは同校OBの母・育枝さん(39)の影響が大きい。幼い頃からテレビにかじりついて野球を見ていた息子に母校に残る逸話を聞かせた。88年夏の甲子園で、高田が喫した8回降雨コールド負け。この試合を取り上げ、作詞家の阿久悠さんがスポニチ本紙の名物企画「甲子園の詩」で「高田高校ナインは甲子園に1イニングの貸しがある」と詩を寄せた。これに佐藤は感銘を受け、進路を決めた。

 最後の夏はコロナ禍により、甲子園で「1イニングの貸し」を取り返すことはできなくなったが、モチベーションは全く落ちていない。「仲間とやる最後の戦いを楽しくやりたい。野球で地元の人に喜んでもらいたい」と意気込む。

 他にも返さなければならない「貸し」がある。昨秋県大会1回戦は花巻東に1―15でコールド負け。右腕は「悔しさを味わった。どんな相手でも目の前の相手に負けないと変わるきっかけになった」とバネにした。花巻東とは決勝まで対戦しない組み合わせ。佐藤には、勝ち続けなければならない理由がある。(柳内 遼平)

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