楽天・松井 3回無失点で開幕ローテ前進 3月の不振脱却、第1子誕生発表後初登板“パパッ”と快投

[ 2020年6月7日 05:30 ]

練習試合   楽天8-3ロッテ ( 2020年6月6日    ZOZOマリン )

<練習試合 ロ・楽>先発し3回を無失点と好投の松井(撮影・沢田 明徳)
Photo By スポニチ

 崖っ縁からはい上がった。今季から先発に再転向した楽天・松井裕樹投手(24)がロッテとの練習試合に先発し、3回を1安打無失点。4三振を奪う好投で開幕ローテーション入りへ大きく前進した。3月27日の巨人2軍との練習試合で1回6失点KOされるなど不振が続いていたが、自粛期間中にフォームを微調整。2カ月半ぶりの実戦で最高の結果を出した。

 一体、いつ以来だろう。3回のロッテの攻撃を封じた松井は、捕手の山下に笑顔を見せながらベンチに戻った。笑える日は必ず来る。そう信じて、懸命に左腕を振り続けた。

 「立場的にもしっかり結果を出さなきゃいけない。初回を3人で抑えたのは(自粛期間中に)いい過ごし方ができたんだと思う」。課題の初回。先頭・福田秀を141キロ直球で空振り三振に斬った。続く荻野もカーブで見逃し三振と3者凡退。今年ここまで6試合の先発のうち、5試合連続で初回に失点していた。鬼門を突破すると3回には売り出し中のルーキー・佐藤を140キロ直球で空振り三振。「抑えられるボールを選択した」とサインに首を振り、力勝負で貫禄を見せつけた。

 「練習していることを周りの人が分かるような投球ができた」。3月27日の巨人2軍との練習試合以来、2カ月半ぶりの実戦。その試合、松井は1回5安打6失点でKOされる屈辱を味わった。どん底。自粛期間中には思いつく限りの練習法を取り入れ、はい上がろうと必死にもがいた。

 打たれた映像を何度もチェックし、自身のフォームも新たに撮影。則本昂にも助言をもらった。微調整したのは「力むタイミングを遅らせる」こと。リリースの際に左腕の力を抜き「感覚的には投げ終わってから力を入れるイメージ」。これで腰の回転から生み出される鋭い腕の振りが復活。変化球で空振りも取れ、何よりリズム良く3回を41球で投げきることができた。

 昨季は38セーブで最多セーブのタイトルを獲得。先発に再転向した今季は退路を断ち、仮に先発で駄目でもリリーフには戻らない方針だ。開幕ローテーションは則本昂、涌井の2人が確定で、三木監督は「他の4つの枠は競争」とした。5月5日には、女優の石橋杏奈夫人との間に第1子(女児)が誕生したことを公表した。松井が「パパ初登板」で復活ののろしを上げた。 (鈴木 勝巳)

 《辛島、弓削、塩見ら左腕ライバル》エースの則本昂は2年ぶりで球団最多タイの6度目の開幕投手に決定。さらにロッテから移籍し、3日のDeNA戦で3回を完全に抑えた涌井も開幕ローテーション入りを決めている。3番手以降は流動的だ。本来、則本昂とともに先発の軸となる岸は3月に腰痛を発症した影響で調整が遅れている。昨季、プロ初勝利を含む8勝を挙げた5年目の石橋が有力。松井もこの日の好投でローテーション入りに前進した。松井と同じ左腕では昨季チーム最多の9勝を挙げた辛島、通算42勝で実績のある塩見、新人だった昨季、3勝を挙げた弓削も候補に挙がる。

 ▼楽天・伊藤投手チーフコーチ(松井は)多少なりとも不安があったと思うが、腕も振れていたし、ストライク先行でいけた。体の使い方が良くなって、ボールの質、回転も良くなってきた。

続きを表示

2020年6月7日のニュース