【秋田】金足農 昨夏の雪辱果たし11年ぶり甲子園 エース吉田が力投

[ 2018年7月24日 21:20 ]

第100回全国高校野球選手権記念 秋田大会 決勝   金足農2―0明桜 ( 2018年7月24日    こまち )

<明桜・金足農>優勝を決め、ガッツポーズする金足農・吉田(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 熱いライバル対決だった。昨夏秋田大会の決勝と、同カードで行われた100回大会秋田決勝戦。金足農が雪辱を果たし11年ぶりの甲子園出場を決めた。

 金足農の150キロ右腕・先発の吉田輝星投手(3年)は初回からエンジン全開だった。「(明桜の4番で背番号1の)山口航輝投手(3年)を倒したい。絶対にリベンジしてやると思い続けてきた」。

 昨夏、吉田はエースとして先発も5回2/3を5失点で降板しチームも1―5で敗戦を喫した。対する明桜の先発・山口は走塁の間に負傷交代するまでの5回を投げ無失点。打者としても1打数1安打の成績だった。その試合後、山口から「また来年勝負しよう。3年で頑張ろう」と声をかけられ「今は実力に差があるけど。来年こそは」と吉田は闘志を燃やしてきた。徹底的に自分をいじめ抜いた1年間は山口に対する雪辱への思いからだ。時には、雪の積もるグラウンドを長靴で3時間走り続けた。「去年の決勝は厳しかったから、それ以上きついことをしないと」。

 そして今夏、ライバル対決が実現した。山口は前日23日能代松陽戦での右足への死球の影響で登板こそ無かったが「4番・左翼」での出場だった。初回、2死一塁で迎えた山口の第1打席。吉田が投じた145キロ直球が内角に決まり見逃し三振。「気づいたらボールがグラブに収まっていた」と山口。対して吉田は「最高の球が投げられた」。

 実は「場面によっては山口との対決を避けよう」というチームの方針があった。それでも吉田は「山口を敬遠したくない。勝負したい。だからあいつの前には走者はためない」。その思いがあったからこその、9回4安打無失点に11奪三振の快投だった。

 最後の対決は9回無死、山口の第4打席だ。吉田は「たぶん最後の対決だとお互いにわかったんだと思う。気づいたら山口も自分も笑っていた」。118キロスライダーが外角に決まり空振り三振。この試合、山口の成績は4打数無安打3三振。圧巻の内容で吉田がリベンジを果たした。

 試合後には「ここまで成長できたのは山口のおかげ。ありがとう」と吉田。山口は「甲子園で暴れてこい」と返した。ライバルの思いも胸に175センチの決して大きくない身体が、甲子園での飛躍を誓った瞬間だった。

続きを表示

2018年7月24日のニュース