準決勝コールド負けって悲しくないか?

[ 2018年7月24日 08:30 ]

南埼玉大会決勝で、浦和学院が17点と大勝した試合終了時のスコアボード。決勝戦は得点差によるコールドはなく、9回まで戦う(撮影・近藤 大暉)
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 北北海道にはじまって各地区で甲子園出場校が続々と決まっている。紙面で予選のイニングを見るたびに毎年切ない気持ちになり、何とかならないのかあと思ってしまう。それは準決勝のスコアの横に5回コールドとか7回コールドの文字を見るときだ。

 コールドゲームの規定は都道府県によってさまざま。準々決勝までは7回7点、5回10点は共通かと思う。1球場で3〜4試合を消化し、実力差が大きい場合は点差が開き試合時間も長くなる。そうなると照明がない球場では消化はできないから、コールドも仕方ないとも思う。だが準決勝は違う。2試合しかないのだ。多少点差がついても朝の10時から始めれば1日2試合消化は可能だ。

 私も高校球児だった。準決勝とは、甲子園が目の前にあるくらいの感覚だ。そこまで予選を勝ち抜き頂点までの4校に残った球児たち。実力差で大差がつく場合もあるだろう。しかしと思う。ここまで戦って最後はコールド負け。9回までの残りイニングを戦わせてあげたいのは私だけだろうか。9回まで試合を継続した結果、代打でヒットを打つ選手がいるかもしれないし、初めて出場する選手がいるかもしれない。9イニングを戦って終わったという満足感。コールド負けはある種屈辱感が伴う。1、2回戦と同じように「大差がついたからハイ終わりね」では、準決勝まで残った球児への配慮がない気がしてならない。静岡県は準々決勝から2会場2試合ずつやるからコールドゲームがない。これは「野球は9イニングのゲーム」という基本に沿っている。そこにはベスト8に残った球児たちへの敬意がみえる。

 もうひとつは日程。今年は100回記念大会だから従来の北海道、東京に加え千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫が2校。それに福岡が加り56校が甲子園に出場する。そのため甲子園大会の開幕を例年より早め8月5日から始まる。当然地区予選も前倒しされ夏休み前の平日にも多くの試合が組まれた。他の生徒は授業を受けているのに、野球部と関係者だけはクラブ活動している。しかも期末試験の直前だったり最中だったりした。

 ちょっとおかしい。高校野球は「教育の一環」という大前提がある。堅苦しい話をするつもりはないが、記念大会で出場校が増え、予選も大会も前倒しされるのはわかっていた。それならもっと早くから予選を実施できなかったのか。球場の確保とか難問はあるだろうが、余裕を持った日程も考えて欲しい。「集中してやるから盛り上がるんだよ」という意見もわかるけど。

 今年の東東京大会を取材したとき、平日でも同じTシャツ、帽子を着用した父母会が応援していた。「平日なのに大変ですね?」と声をかけたら、ある選手の父親は「会社を休みました。大変だけど息子の応援ですから楽しいですよ」と笑顔で話してくれた。そう、球場に来られる父母はいい。しかし父子家庭や母子家庭もあり平日には応援に行けない家庭があることも忘れないでほしい。

 今年の7月は異常な猛暑に見舞われ、東京でも40度を超えた。今後さらに気温は高くなる傾向にあるという。次の記念大会は105回か110回か。暑さ対策も含め次の200回大会に向け、いい方向に少しでも変革があればいいと思う。 (特別編集委員 落合 紳哉)

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