甲子園V投手に聞く 先攻と後攻どちらが好き? 小笠原は先攻、松坂は…

[ 2018年4月22日 11:00 ]

<PL学園・横浜>17回、250球を投げ完投勝ちし、渡辺監督(右)からそっと労われる横浜・松坂(1998年8月20日)
Photo By スポニチ

 今月4日まで行われた第90回選抜高校野球は大阪桐蔭の春連覇で幕を閉じた。

 大会を通して印象的だったのが、劇的なサヨナラ勝ちである。明徳義塾が初戦で中央学院にサヨナラ3ランで勝利。ところが、次戦は日本航空石川にサヨナラ3ランを浴びて敗れた。馬淵史郎監督は「3ランで勝って3ランで負ける。自分の人生みたい」と振り返った。

 また、智弁和歌山は準々決勝で創成館との乱打戦を制し、延長10回に11―10で逆転サヨナラ勝ち。大阪桐蔭も準決勝で三重に史上初のタイブレーク突入を目前にした延長12回にサヨナラ勝利した。今大会のサヨナラ試合は7度。14、16年年の6度を上回り、選抜史上最多となった。

 このように劇的なサヨナラ勝ちが印象に残るため、負けたら終わりの一発勝負である高校野球は後攻が有利に思える。実際、今選抜は全35試合のうち、25試合が後攻の勝利と、70%以上の確率で後攻が勝った。

 奇しくも担当する中日には3人の甲子園優勝投手が在籍する。というわけで高校時代、先攻と後攻どちらが好きだったか聞いてみた。

 まずは花咲徳栄で昨年夏の甲子園で全国制覇した清水達也投手(18)。「僕は後攻が好きですね」と即答した。というのも、清水投手は同校ではリリーフエースとして活躍。決勝の広陵戦も5回途中から登板し、胴上げ投手となった。「僅差だと、絶対にサヨナラの危険があるので後攻が良い」と力説した。

 先攻、後攻は試合前の両校の主将がじゃんけんで決めるが、チームの方針で先攻が多かったという。なので、後攻の場合は「どれだけ点を取られても、最後に勝っていれば良いと割り切っていた」という。

 15年夏に東海大相模で全国優勝した小笠原慎之介投手(20)は「先攻の方が好き」と語る。先攻の場合、攻撃から試合が始まるため「投げるまでに時間がある」と気持ちをコントロールしやすいという。逆に「後攻だと守備からリズムをつくらなきゃいけない。立ち上がりも難しい」と話す。

 小笠原は先攻のメリットを「点が入ったら、なお良い」と付け加えてくれた。後攻だと、どんな場合でも0―0からスタートするが、先攻だと仮に初回に点が入れば、リードした展開で投げ始められる。

 そして、こうも続けた。「だからビジターの方が(成績が)いいはずですよ」。プロではビジターチームが先攻、ホームチームが後攻と元々、決まっている。昨季までの2年間で小笠原は7勝をマークしているが、ナゴヤドームでの白星はわずか2勝。5勝がビジターで挙げた。今季の初勝利も京セラドーム。「対策を考えないといけないんですけどね」としながらも、やはり先攻が得意だそうだ。

 そして、最後に「聖地の申し子」といえば、誰もが思い浮かべるのが松坂大輔投手(37)。横浜高での98年春夏連覇は高校野球史に残る偉業である。

 先攻、後攻のどちらが好きだったのか。尋ねると「んー…。キレイなマウンドで投げるのは好きだったかな」と20年前を回想してくれた。そして「(試合開始の)サイレンが鳴り出した瞬間に投げているイメージ」と続けた。

 確かに、調べてみると夏は6試合のうち、5試合が後攻。唯一、先攻だったのは伝説に残るPL学園との延長17回に及ぶ熱戦だけ。先に投げるためサイレンが鳴っているのである。それを伝えると「あぁ、だからなのかな」と懐かしそうに笑った。

 ただ、「先攻、後攻のどっちが好き、苦手とかはないですね」ときっぱり。実際に選抜は5試合のうち、先攻3試合、後攻2試合で優勝している。平成の怪物恐るべしである。

 今夏の甲子園は100回目を迎え、記念大会として史上最多の56校で熱戦を繰り広げる。相手の立ち上がりを攻められる先攻が有利なのか、サヨナラのチャンスがある後攻が有利なのか。今年も名勝負がたくさんありそうだ。(記者コラム・徳原 麗奈)

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2018年4月22日のニュース