岩隈メジャー挑戦明言「海外FAを行使しようと思う」

[ 2011年10月30日 06:00 ]

19日の最終戦終了後のセレモニーで場内を一周しファンに手を振る岩隈

 楽天・岩隈久志投手(30)が本紙取材に対し、今季取得した海外フリーエージェント(FA)権を行使して大リーグ移籍に再挑戦することを明言した。

 2年越しの夢をかなえるため、11月上旬には渡米してアリゾナ州でトレーニングを行うことも決定済み。昨オフはポスティング・システム(入札制度)を利用して移籍を目指したが、アスレチックスとの入団交渉が決裂して断念。複数球団が獲得に興味を示している日本を代表する右腕は、来季メジャーのマウンドに立つ。

 膨れ上がる気持ちは抑えきれなかった。今季最終戦となったロッテ戦(Kスタ宮城)から10日が経過。岩隈は憧れの舞台への思いを口にした。スポニチの取材に対して「ここ数年、メジャーでプレーしたいと考えていました。その夢をかなえるため、日本シリーズ終了後に海外FAを行使しようと思っています」と胸の内を明かした。

 昨オフはポスティング・システムを利用して大リーグ移籍を目指した。入札で独占交渉権を得たアスレチックスとの交渉は、最終的に条件が折り合わずに決裂して楽天残留となった。今季チームは5位で全日程を終了。すでに順位確定後に球団と話し合いは済んでおり、海外FA権の行使も容認された。現在は日本シリーズ終了後に行う申請の準備を進めている。

 来季に向けた本格的な体づくりとして11月上旬から約2週間、自身初となる米アリゾナ州でトレーニングを行うことも決めた。アリゾナは岩隈も出場した第2回WBC日本代表がトレーニングした地。オフには多くのメジャーリーガーも使用する。「アリゾナには素晴らしい施設がある。トレーニングに集中できるし、他のアスリートから吸収できることもある」として、日本より長くなるシーズンを戦うための体のメンテナンスと強化を徹底的に行う。

 メジャー球団も岩隈の本格調査を進めており、パイレーツなど5球団が積極的に獲得に動いているという。岩隈は「代理人とは連絡を取っていません。自分を必要としてくれる球団ならどこでも構いません。いろんな話を聞いてじっくり考えたいですね」と全30球団と交渉に応じる考えを明かした。

 ワールドシリーズをテレビ観戦した右腕は「やっぱりメジャーの打者のスイングは凄い。短期決戦は集中力も高い」と世界最高峰の戦いに胸を躍らせる。海を渡る決意は固まった。沢村賞、MVPなど数々の栄光を手にした岩隈の争奪戦がいよいよ始まる。

 ▽昨オフの岩隈 昨年11月1日、楽天が岩隈をポスティング・システム(入札制度)にかけることを申請する文書をコミッショナー事務局に送付。同8日に大リーグ機構からアスレチックスの独占交渉権獲得が発表された。応札額は1910万ドル(当時約15億8530万円)とみられ、ア軍は4年総額1525万ドル(当時約12億6600万円)の条件を提示した。希望と隔たりがあったとして岩隈側は再交渉を望んだが、ア軍が以降の話し合いを拒んで交渉は決裂。米東部時間の12月7日午前0時で期限切れとなった。98年創設の同制度で応札球団と交渉がまとまらなかった初のケースになった。

 ▽FA権の行使までの流れ 日本シリーズが終了した日の翌日から土、日、祝日を除く7日間以内に、在籍球団に行使する意思を表明。7日間を経た翌日の午後3時にコミッショナーから「FA宣言選手」として公示され、公示の翌日から各球団との契約交渉が可能となる。

 ◆岩隈 久志(いわくま・ひさし)1981年(昭56)4月12日、東京都生まれの30歳。堀越3年夏の西東京大会4強。99年ドラフト5位で近鉄入団。04年の球界再編で近鉄とオリックスが合併し、楽天へ金銭トレードで移籍。最多勝、最高勝率、ベストナインを2度、沢村賞、MVP、最優秀防御率を1度ずつ受賞。家族は夫人と1男2女。1メートル90、77キロ。右投げ右打ち。

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2011年10月30日のニュース