山県 故障で苦闘の2年間、釣りで支えた父は船上で会話「いい息子になる」

[ 2021年6月7日 05:30 ]

陸上 布勢スプリント ( 2021年6月6日    鳥取市・ヤマタスポーツパーク陸上競技場 )

男子100メートル決勝、9秒95の日本新記録で優勝し、歓声に応える山県
Photo By 代表撮影

 息子の晴れ姿を両親は会場で見守った。広島市内でスポーツ用品店を経営する山県の父・浩一さん(61)は「涙が出ないくらいうれしい」と心からの声を口にした。

 相次ぐ故障に見舞われたこの2年、家族で釣りに出ることがたびたびあった。船上でたわいのない話をたくさんした。「陸上がしんどい時、いい息子になるんです」と親子水入らずの時間を楽しめた。素直な息子に触れたことで、「(家族以外の)人に会いたくないんだろうな」とも感じ取っていた。

 10日に次男は29歳の誕生日を迎える。この世に生を受けた92年のその日、実は「生きるか、死ぬかでした」という危険な状態だった。予定より2カ月早く誕生し、2カ月間新生児集中治療室(NICU)で過ごした。両親にできることは、ただ祈るだけだった。

 健やかな成長だけを願った我が子は、小4で陸上に出合った。身長がクラスで前から1、2番目の小さな子が、初出場の広島市の大会の100メートルでぶっちぎりの優勝をし、父は「何か秀でたことがあれば、いじめられにくくなるだろう」と安どした。その子が五輪に2度出場し、リオ五輪の400メートルリレーでは銀メダルを獲得した。そして日本一速い男へ。「手を抜かず、いろんなことに向き合う姿勢は、息子ながら敬意を表します」。心からの祝福を贈った。

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