鶴竜14日目でV 3横綱そろい踏み場所では初賜杯

[ 2016年11月27日 05:30 ]

大相撲九州場所14日目 ( 2016年11月26日    福岡国際センター )

豪栄道を上手出し投げで下し、優勝を決めた鶴竜
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 単独トップの横綱・鶴竜が大関・豪栄道を上手出し投げで退けて13勝1敗とし、3度目の優勝を果たした。1差で追っていた横綱・日馬富士が、横綱・白鵬に小手投げで敗れて2敗が消えたため、優勝が決まった。ケガを乗り越え、自らの横綱像を作り上げて抜群の安定感を発揮し、昨年秋場所以来7場所ぶりの賜杯をつかみ取った。 14日目取組結果

 ぶれない心を手に入れた鶴竜にとっては、たとえ優勝が懸かる大一番でも「いつも通りの普通の一番」だった。取組前に1差で追う日馬富士が敗れ、自身が豪栄道に勝てば3度目の賜杯が決定するという緊迫の場面。1度目の立ち合いは突っかけ、2度目も自身の手つき不十分で止められたが「自分の気持ちを変えなかった」と冷静沈着だった。3度目は成立。一度は押し込まれたが、左を差して右を巧みに巻き替えた。その後、相手が巻き替えてきたところを勝機と見て体を左に開き、業師らしい華麗な上手出し投げで勝負を決めた。

 「最高です。うれしいです。自分が成長できたと実感を持ったし、頑張ってきて良かった」。前回Vの昨年秋は白鵬と日馬富士が休場。3横綱がそろった中で初の栄光をつかみ笑顔があふれ出た。

 7月の名古屋場所を腰痛で4日目から途中休場し、調整不足で臨んだ先場所も初日から2連敗。師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)は「3連敗したら休場を考えた」と明かすが、鶴竜は「我慢することで何かを得られる」と批判承知で最後まで取り切るつもりだった。「駄目な時に腐らないで頑張れる人が上に上がれる。自分は壁にぶち当たりながら大きくなったから」。10勝5敗で場所を終えて「心が強くなった」と実感した。

 10月の秋巡業では自らの横綱像を考え抜いた。「いい意味で先輩横綱2人のまねをしない方がいい」。白鵬と日馬富士が稽古を休んだ時は自分が土俵で若手と相撲を取った。以前は2人からアドバイスを受けることもあったが「同じようにやるのは難しい。自分は自分と思い責任を果たす」と決断。結果的に巡業の丸い土俵で体を動かし続けたことで「いつもは番付発表後から稽古をするけど、今回は余裕を持って調整できた」。自分と向き合うことで31歳の横綱は心身ともに充実した。

 鶴竜は言う。「“認めてもらう”と“喜んでもらう”は違う。人は好き嫌いもあるし、みんながみんな拍手をくれるのは難しい。自分は自分を応援してくれる人に喜んでもらうために頑張っている」。目標はもうすぐ1歳半を迎える一人娘のアニルランちゃんが物心つくまで横綱の務めを果たすこと。大切な家族や仲間を喜ばすため、第71代横綱は「まだまだ成長できると思っている」と言い切った。

 ◆鶴竜 力三郎(かくりゅう・りきさぶろう=本名マンガラジャラブ・アナンダ)1985年(昭60)8月10日、モンゴル・スフバートル生まれの31歳。01年九州場所初土俵。05年九州場所新十両。06年九州場所新入幕。12年春場所後に大関昇進。初優勝を飾った14年春場所後に横綱昇進。昨年2月にムンフザヤ夫人(25)と結婚し、同5月に長女・アニルランちゃんが誕生。得意は突き、押し、もろ差し、寄り、投げ。1メートル86、155キロ。血液型A。

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