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こだわり旬の旅

【岡山】沿線まるごと美術館 “走るトランク”で瀬戸内アート旅

[ 2016年6月4日 05:30 ]

岡山駅のホームで出発を待つ「ラ・マル・ド・ボァ」と車掌さんたち
Photo By スポニチ

 JR西日本が6月末までデスティネーションキャンペーン(DC)を展開中の岡山県で“観光列車の旅”を楽しんだ。岡山駅(岡山市)を起点に南へ、北へと大移動。中でも国際芸術祭を7月に控えた瀬戸内海の玄関口・宇野駅(玉野市)に向かう「ラ・マル・ド・ボァ」(仏語で木製の旅行かばん)はかばんのようなデザイン。アート色満点で心が浮き立った。

 白い車体の窓の周囲を線で囲んで取っ手を付け、かばんのように描かれた「ラ・マル…」。2両編成ながら岡山駅のホームで出発を待つ姿はひときわ目を引く。7月18日に再開する「瀬戸内国際芸術祭2016」(9月4日まで、10月8日~11月6日)の総合ディレクター、北川フラム氏がデザイン、監修。アートな瀬戸内への旅気分を盛り上げる“走るトランク”だ。

 ホームにはかつて船員の交代時刻を伝えた「八点鐘」のモニュメントと自転車組立場が設置され、同鐘のベルを合図に列車は出発。車内はカウンター席とボックスシートで、桜などの木を使用した落ち着いた雰囲気。自転車8台が置けるサイクルスペース(要予約)もあり、サービスコーナーでは真備竹林麦酒醸造所(倉敷市)の地ビールや児島デニムトートバッグ(同)など特産品とコラボしたグッズ、飲料などが販売されている。

 芸術祭へのアプローチとなるべく宇野線の各駅はさまざまなアートで彩られている。彦崎駅や迫川駅などでは市立灘崎中美術部によるアート作品を展示。常山駅周辺にはフラワーエンターテイナーの萬木善之氏による田んぼアートが登場し、八浜駅、宇野駅では駅自体がアート作家エステル・ストッカー氏のデザインでスタイリッシュに変身。終点まで約1時間、飽きることがない。

 宇野駅に降り立つと宇野港は目の前。周辺にも駅に負けないアートが点在している。空き缶、ペットボトルなどのゴミや家庭の不要品を集めて作った漂流物のオブジェ「宇野のチヌ」をはじめ、舟のいかりやスクリューなど不要になった鉄材を組み合わせた鉄のアート「舟底の記憶」、動物たちにロックスターらの衣装を着せた「海からの贈り物」など“まるごと美術館”といった感じだ。

 疲れたら同港沿いの「シーサイドマート玉野魚市場」(木~日曜営業)でひと休み。毎週土・日曜には炊きたてご飯とあら汁を100円で提供する「勝手にご飯会」(午前11時~午後零時半)を実施している。この日は市場で刺身パック(600円)を購入。“即席海鮮丼”を堪能した。

 車窓に目を奪われ、アートに魅せられ、グルメに舌鼓。「ラ・マル…」は確かに楽しさがいっぱい詰まった旅行かばんだった。

 ▽行かれる方へ 9月30日までの土・日・祝日に1日1往復。全車グリーン指定席。問い合わせはJR西日本岡山支社=(電)086(225)1170、晴れの国おかやまDC推進協議会=(電)同(233)1802。

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