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こだわり旬の旅

【京都】ここで倒幕計画が…明治維新150年 京に残る「西郷どん」足跡を訪ねて

[ 2018年2月4日 18:03 ]

西郷と月照上人が討幕計画を練ったという東福寺即宗院の採薪亭跡
Photo By スポニチ

 近代日本の幕開けとなった1868年(慶応4)の明治維新から150年。舞台となった京都市では、今年も寺院などの通常非公開の文化財を期間限定で特別公開する「京の冬の旅」を実施している。折しも1月からは時代を明治維新へと導いた西郷隆盛を描くNHK大河ドラマ「西郷どん」がスタート。その面影を求めて文化財公開中の寺院を回った。

 京都にも数多く残る西郷ゆかりの地。まずはJR京都駅からバス10分、徒歩12分の東福寺を訪ねた。

 京都五山の一つに数えられる洛東の巨刹で、約7万坪の広大な寺域に25の塔頭(たっちゅう)を抱えるが、その一つ、即宗院は1387年(嘉慶元)に創建された薩摩藩の菩提寺。渓谷に架かる桃山時代の木造廊橋・偃月(えんげつ)橋(重要文化財)を渡った山裾に建つ。

 境内には西郷と清水寺の勤王僧・月照上人が密か倒幕計画を練ったといわれる庵(いおり)「採薪亭」跡、その奥には西郷が鳥羽・伏見の戦い(1868年=慶応4)などでの戦死者を弔うため建立した「東征戦亡の碑」がたたずむ。碑に刻まれた薩摩藩士524人の名は西郷の自筆。院内には西郷直筆の掛け軸も江戸幕府最後の将軍・慶喜直筆の掛け軸とともに残されており、不思議な因縁を感じさせる。

 約5分歩くと、1347年(貞和3)に建てられた東福寺の禅堂(重文)と1000余の経典が納められた経蔵。西郷とは関係ないが、禅堂が日本最古で最大なら経蔵は初の一般公開だけに、ぜひ見ておきたい。

 次に向かったのが、東福寺からJR奈良線、地下鉄烏丸線を乗り継いで今出川駅から徒歩5分、足利3代将軍・義満が自らの参禅道場として1392年(明徳3)に創建した相国寺の林光院。同寺が山外の鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)などとともに、約4万坪の境内に抱える12の塔頭のうちの一つだ。

 関ケ原の戦いで敗れた薩摩藩17代当主・島津義弘を助け薩摩に帰還させた大阪の豪商・田辺屋(現田辺製薬)の今井道与の嫡孫が林光院5世になった縁から、義弘の像と位牌を同院に移送。以来、同藩と深いつながりを持ち、相国寺東門から約40メートル先の境外墓地には薩摩藩士の墓が立つ。蛤御門の変などで戦死した72人の藩士が合葬されており、本堂・書院南庭では名木「鶯宿梅」が3月上〜下旬、藩士の魂を慰めるように咲き誇る。

 書院に入ると、14年(平26)から3年かけ画家・藤井湧泉によって襖一面に描かれた巨大な水墨画「龍図」「虎図」「松図」に圧倒される。特に「虎図」の虎は猫のように愛らしく、政治家ではなく動物愛好家としての西郷が思い出された。

 ▽行かれる方へ 「京の冬の旅」は3月18日まで(宝鏡寺は2月28日まで)。特別公開は15カ所の寺院などで。拝観料は各寺院とも600円(泉涌寺舎利殿、東寺五重塔は800円)。問い合わせは京都総合観光案内所=075(343)0548。 

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