三遊亭円楽 涙の高座復帰「死ぬまでやります」脳梗塞発症から7カ月ぶり晴れ舞台、生涯現役宣言

[ 2022年8月12日 05:30 ]

高座に復帰した三遊亭円楽は会見で涙を拭う(撮影・沢田 明徳)
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 今年1月末に脳梗塞を発症し、リハビリを続けている落語家の三遊亭円楽(72)が11日、東京・国立演芸場で開幕した「8月中席」(20日まで)で約7カ月ぶりに高座復帰した。

 トップバッターで登場。幕が開き、大きな拍手が湧き起こると、手ぬぐいで涙を拭きながら「みっともなくてもいいから、死ぬまでやります」と決意表明した。これまでも肺がん、脳腫瘍を乗り越えており「ICU(集中治療室)から3度目の帰還」「なんでこんなことになったのか。みんな歌丸が悪い」と故桂歌丸さん(2018年死去、享年81)への毒舌も。日本テレビ「笑点」にも触れ「入院中、看護師さんに“師匠がいないとつまらない”と言われた。世間は分かっている」と話し、笑いを誘った。

 続けて「短くて落語らしい演目」として復帰1席目に決めていたという古典落語「猫の皿」を口演。観客には「俺がまだ生きているか、生で確かめに来たんでしょ。今晩はご家庭で“生きていたよ”って、酒のさかなにしてください」と再び毒舌。15分の予定だったが、マクラを含め30分にわたる高座を見せた。

 公演後に取材に応じ、高次脳機能障害があることを告白。新しいことは覚えにくいというが「ありがてぇのは昔覚えた落語は忘れていない。これなら、しがみついてでもやっていける」と力強く語った。11月開催の「博多・天神落語まつり」など、今後もプロデュース業を務めていくといい「演芸プロデューサー、落語コーディネーターとか…なんでもいいから落語に関わる仕事があれば手伝わせてもらう」と、高座に上がる以外にも意欲を示した。

 さらに、落語界を盛り上げるために必要なものを問われ「統一きょうかい!」と即答。「協会を統一するということ。東京落語会をつくった方がいい」と時事ネタを交えた“謎かけ”も披露した。所属事務所によると、笑点への復帰は未定だが、予定していた落語会には順次出演する。本公演では14、20日公演の出演予定に加え、15日の出演が決まった。

 ▽高次脳機能障害 新しいことを覚えられない記憶障害、集中力が持続しない注意障害、計画を実行できない遂行機能障害、攻撃的になってしまう社会的行動障害などがあり、日常生活または社会生活に制約ができてしまう状態。ケガや病気により、脳に損傷を負うことで引き起こされる。脳梗塞などの後遺症としてみられるケースがある。

 【円楽の闘病経過】
 ▼2018年9月 初期の肺がんを発表。10月4日から休養し、5日に摘出手術。その後、わずか1週間で独演会に復帰した
 ▼19年7月 脳腫瘍を公表。放射線治療とステロイド投与による治療で3週間ほど療養。一時退院し8月中席・国立演芸場で高座復帰
 ▼20年11月 がん検診イベントで19年に肺がんが再発していたことを告白
 ▼22年1月25日 自宅で体調を崩し、家族と病院に行き脳梗塞と診断され入院
 ▼2月18日 夏までの休養を発表
 ▼5月20日 退院
 ▼7月22日 五代目円楽一門会「三遊まつり」出席

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