プロ注目!昌平・吉野創士 特殊ティー打撃&「野村イズム」で高校通算56発 祖父との約束「プロ」誓う

[ 2021年10月9日 10:00 ]

高校通算56本塁打を誇るプロ注目の昌平・吉野(C)TBS
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 11日に行われるプロ野球のドラフト会議。高校通算56本塁打を放ち、右の長距離砲としてプロから注目されている昌平(埼玉)・吉野創士外野手(3年)が9日に放送されるTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演。中学時代に無名選手だった吉野がドラフト候補選手にまで成長した原点に迫った。

 中学時代の吉野は全国でも無名の選手で、チームでも主軸ではなく7番打者だった。その吉野をプロ注目の選手に育て上げたのが昌平高校野球部・黒坂洋介監督(46)だ。黒坂監督は中学時代の吉野について「正直そこまで目立ってなかった。でも練習とか見るとすごくポテンシャルが高くて可能性をすごく秘めているなって見方はしていた」と秘めたる才能を見抜いていた。

 そんな才能をどう磨いたのか。その秘密は練習にあった。吉野のティーバッティングでは、変化球の対応を身につけるためにボールをワンバウンドさせたり、真横、真後ろからボールを投げるなど、様々な種類のティーバッティングで実戦での対応力を磨いた。さらに筋力トレーニングも欠かさなかった。スクワットは自身の体重の倍の重さ150キロのバーベルを持ち上げ、入学当初40キロしか上がらなかったというベンチプレスは100キロを上げるまでに進化し、体脂肪率は驚異の3・5%だ。

 吉野が鍛えられたのは肉体だけではない。黒坂監督から「野村イズム」も教え込まれた。社会人野球の強豪SHIDAXの主力選手としてプレーした黒坂監督。当時の監督はID野球で一世を風靡し、ヤクルト監督時代に3度の日本一を果たした名将・野村克也氏。野村氏から確率を重視してワンプレーへの事前の準備をする大切さなどを叩き込まれた。

 そして黒坂監督は野村氏から、もう一つ受け継がれたものがある。それは人生観から成功哲学、ポジションごとの技術論まで野村氏の考え方が詰まっている野球の参考書「野村ノート」だ。その内容を黒坂監督は「私なりにアレンジして選手たちに伝えている」。その中で、吉野が学んだのは野球に対する姿勢。「自分の何が悪いのかを徹底的に考えて練習に臨んでいる」と、常に考えながら練習に取り組んでいる。

 頭脳と肉体、2つを手に入れた吉野は高校生で独自の打撃理論を持つまでに成長。「バットをフルスイングするんじゃなくて、下半身。股関節をフルスイングするイメージ。股関節さえ速く回せばバットがついてきて、その遠心力で持っていくイメージ」。下半身を鋭く回転させ、体全体をムチのようにしならせることで強い遠心力を生み出す。この独自のフォームで高校通算56本の本塁打を放ち、プロ注目の強打者へとなった。

 夏の埼玉大会後にプロ志望届を提出した吉野は、ドラフト1カ月前に帰省。目的は5年前に亡くなった祖父・忠雄さんの墓前に報告するため。吉野は忠雄さんが亡くなる2日前に「お前はプロに行って活躍する選手になってくれ」と伝えられた。祖父の最後の願いを託された吉野は「おじいちゃんと約束したプロっていう世界の入り口に立とうとしてるっていうのもあるので祈っててほしいと念じました」と、ドラフト会議を心待ちにした。

 果たして吉野の名前は呼ばれるのか。そして天国の祖父へ吉報を届けられるのか。運命のプロ野球のドラフト会議まで、あと2日。

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