おおたわ史絵氏 PCR検査が増えないワケ「日本には軍医がいない」 現場で携われない医師の胸中も吐露

[ 2020年5月9日 11:06 ]

 内科の医師で、テレビ番組のコメンテーターも務めるおおたわ史絵氏(55)が8日、自身のブログを更新。日本でPCR検査が増えない現状に私見をつづった。

 おおたわ氏は「平和できれいな国の医師たち」のタイトルで投稿。「日本のPCR検査、増やせ、増やす、と毎日言われながらなかなか増えていない。あたりまえだ」と切り出した。

 「できる場所が限られている。やる医師が少ない。いや、医療を責めているわけではない」とし「鼻粘液採取の手技をするのは医療従事者自らも感染リスクを負う。もし感染しても自分は軽症で済むかもしれないが、家族はどうなるだろう?小さい子供、老いた親。ウィルスを持って帰るわけにはいかない。必然的に自宅に帰れず、病院に寝泊りせざるを得なくなる。いつ家族に会えるかわからない」と医療現場関係者の実情をつづった。

 さらに「海外の検査が速やかに進むひとつの理由には軍隊の医師の存在があると思う」とも。「彼らは日常的に生物兵器に対する演習として防御服や汚染物の扱いに長けている。だから迷いが少なく、コロナにも向かっていける。日本には軍医がいない。前戦で鍛えられた医師もいない。大多数の医師は防御服を着た事がない。見た事もないドクターだっていただろう。もとから世界で最も清潔な国のひとつゆえ、疫病対策には重点が置かれていなかった」と続けた。

 「そんな慣れない彼らが自衛隊の指導のもとに検査を始めている。使命感以外の何者でもない」と現場で戦う人たちをおもんばかり、「せめて彼らに保障を、経済的 安全 テクニックのバックアップを 自衛隊、防衛医大、海外の医療部隊 できるだけ多くの力を借りるべきだと思っている」とサポートの重要性を主張。「戦争のない平和な日本 疫病の少ないきれいな日本 そんな私たちの1番の弱点が、今まさにある問題点」と記した。

 続けて「私もその医師のひとりとして 歯痒さでいっぱいだ。以前の自分なら検査の現場への参加に手を挙げたと思う」としつつも「ただ現在は矯正医療に携わり 刑務所と少年院を勤務地としている都合上、現場に行くことができない。万が一、私がウィルスを受刑者たちに持ち込んでしまい、そこでクラスターが起きたら 医療崩壊だけでなく刑務所が崩壊する。絶対に避けなければならない事態なのだ」と最前線で働けない医師として複雑な胸中を吐露した。

 「高みの見物のようで本当に申し訳ない。そのかわり、できるだけの発信をしていこう。みなさんにわかってもらえるように」と決意。「ひとりでも感染者、重症者が少ないことが日本の医療を守ります。ワクチンと治療薬が自由に使用できるようになるまでは、それ以外にないのです」と訴えた。

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2020年5月9日のニュース