阪神・岡田監督 前川右京を2戦連続DH起用 3打席連続三振でも「最初から打てるとは思ってないよ」

[ 2023年6月1日 06:00 ]

交流戦   阪神0―4西武 ( 2023年5月31日    ベルーナD )

<西・神>4回、空振り三振に倒れた前川(撮影・大森 寛明)
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 阪神は31日の西武戦で4度目の零敗を喫して16年ぶりの10連勝には届かず、5月は球団記録に並ぶ19勝(5敗)で終えた。岡田彰布監督(65)は高卒2年目の前川右京外野手(20)を2戦連続のDH起用で先発に抜てき。2度の好機を含む3打席連続三振でも、未来への経験を積ませ、余裕すら感じさせた。

 向かうところ敵なしだった5月の戦いが幕を閉じた。最後は小休止の零敗。2年ぶり先発の本田を打ち崩せず、5回からの継投策にも手を焼き、今季4度目の無得点に終わった。岡田監督は1次政権時代の07年以来、16年ぶりの10連勝を逃しても余裕を漂わせた。
 「チャンスはあったよ。そろそろ(攻略できる)かなと思ったら、5回から(投手が)1人ずつやからなあ」

 得点の芽が全くなかったわけではない。塁上をにぎわせながら、あと一本が出なかった。2日続けてDHで先発起用した前川が得点圏に走者を置いて2度の空振り三振。3打数3三振で、プロ初安打を持ち越した。本人にとっては歯がゆさが残る結果。送り出した指揮官が目くじらを立てることはなかった。

 「そんなんもう、最初から打てるとは思ってないよ。1軍のピッチャーは初めてやから。それはみんなが踏む第一歩やんか。別に最初から打てなんて言うてないやんか」

 そもそも1軍未経験の20歳を、連日にわたってスタメンで使えたのも、交流戦までに17も積み上げた潤沢な貯金があったからだ。この1カ月、球団タイ記録の月間19勝という驚異的な勝利数を収めた。1日の時点では首位DeNAに3差の2位。順位が入れ替わっただけでなく、6ゲームもの大差をつけて5月を終えた。だからこそ大胆な手を打てる。

 「(勝率)5割を行ったり来たりする展開やったら、思い切った選手の起用も、若いやつも起用できひんと思うけどな。そら、5割ぐらいやったら、前川だって(1軍に)上げてないで」

 目の前の勝利を追い求めながら、同時に将来への投資ができるのは、戦い方としては理想の形といえる。勝ちながら育てられるのは、チーム状況が逼迫(ひっぱく)していないからこそ。6月も「そら楽な戦いはできると思うよ」と明るい見通しを口にした。9連勝で止まった黒星は、痛くもかゆくもない、余裕の1敗だった。(倉世古 洋平)

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