阪神・村上で球団タイ月間19勝! 初登板でKOされた西武に雪辱「嫌な球場がいい球場になって良かった」

[ 2023年5月31日 07:00 ]

交流戦   阪神3―1西武 ( 2023年5月30日    ベルーナD )

<西・神>笑顔でナインを迎える村上(撮影・大森 寛明)
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 「日本生命セ・パ交流戦」が30日に各地で開幕し、阪神は敵地ベルーナドームで西武に3―1で快勝。村上頌樹投手(24)が8回4安打1失点で5勝目を挙げた。プロ初登板初先発した2年前の「5・30」に3回途中KOされた相手に雪辱。規定投球回に復帰し、防御率1・41でリーグトップに返り咲いた。チームは07年以来16年ぶりの9連勝を達成し、球団タイ記録の月間19勝目。31日の同カードで球団新記録を狙う。

 プロとしての一歩目に刻まれた苦い思い出を、村上は見事に上書きしてみせた。西武に3回途中5失点KOを食らったプロ初登板初先発から、丸2年。同じ所沢の地に、3年目右腕は成長の跡を刻みつけた。

 「2年前と同じ日で緊張したけど、いい投球ができた。嫌な球場がいい球場になって良かった」

 生命線の「真っスラ」する直球に加えて、カウント球と決め球で使い分けるフォークで西武打線を幻惑した。「(坂本)誠志郎さんがいろいろ考えながらやってくれた。目的通りに投げられた」。フルカウントまでもつれたのは、打者28人で2度のみ。「(2年前は)四球をいっぱい出しちゃった(3四球)ので、それはないように」と誓って臨み、ストライクを先行させて8回まで無四球で投げ抜いた。開幕から31イニング連続無失点で60年ぶりにセ・リーグ記録を打ち立てた24歳。今回はチームを16年ぶりの9連勝、そして64年8月、68年8月以来55年ぶり3度目の月間19勝へと導き、再び歴史を掘り起こした。

 これまでの野球人生で一番の挫折は、智弁学園2年時までさかのぼる。夏の大会で天理に敗戦し、秋季近畿大会でも準々決勝の大阪桐蔭戦で9失点。ふてくされた態度をグラウンド外にまで持ち込み、小坂将商監督に激怒され、心を改めた。「監督に怒られてからです。その日を境に、逃げの投球を攻めの投球に変えられた」。当時の教訓を今でも大事にしているからこそ、卒業後も毎年年末年始のあいさつは欠かさない。昨年末も後輩の前川を連れて恩師の元を訪れた。そこで受けた激励も力に変えている。

 「阪神ファンの方が応援凄いんじゃないかというくらい凄かったので、びっくりしました。パ・リーグの凄い人たちに投げて、1失点に抑えられたのは良かったと思います」

 規定投球回に再び到達し、防御率1・41でリーグトップに。球宴ファン投票でも先発投手部門1位を快走する。躍進を続ける背番号41は5月の19勝のうち3勝を稼ぎ、歴史的進撃の一翼を担っている。(阪井 日向)

 《村上のプロ初登板は2回1/3を5失点》21年5月30日西武戦(メットライフドーム=現ベルーナドーム)でプロ初登板初先発。球団800人目の1軍出場を果たしたが、2回1死一、二塁から愛斗に左翼ポール際に3ランを被弾。2回1/3を3安打3四球、5失点で降板した。試合は5回に梅野の2ランで勝ち越しに成功。2番手で1回2/3を無失点の及川がプロ初勝利を挙げた。

 《セでは19年広島以来》阪神の9連勝は前回の岡田監督時代の07年8~9月に10連勝して以来16年ぶり。月間19勝目は64年8月と68年8月に並ぶ球団記録となった。きょう31日も勝って球団新記録の月間20勝なら、プロ野球史上10度目の大台到達。近年では20年10月にソフトバンクがプロ野球記録の22勝。セ・リーグでは19年5月に広島が20勝して以来になる。

 《最短6・14にもM灯!?》この日の交流戦でセ・リーグは首位阪神と2位DeNAが勝利。敗れた3位以下の4チームに対して1ゲームずつリードを増やした。リーグ内で勝利を奪い合わない交流戦期間中は、1度の勝利で最大他の5チームに対して1ゲームずつリードを増やすことが可能で、仮に阪神が今後も連勝を続けた場合、最短で交流戦期間中の6月14日に優勝へのマジックナンバー「66~68」が点灯する。

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