長丁場を戦い抜くために不可欠なベテランの力 ロッテ・井上の巻き返しに期待

[ 2023年5月31日 08:00 ]

4月19日日本ハム戦で先制2ランを放ったロッテ・井上
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 アジャこと、ロッテ・井上晴哉内野手(33)が23日に出場登録を抹消された。気さくな性格で試合前練習の前後に時間があれば、報道陣と雑談に応じ、遠征先のグルメ情報を提供してくれたりと、何かと話をする機会も多い選手だった。母の日に5年ぶりの盗塁を決めた記事を見てくれて「良かったよ」とお褒めの言葉もいただいた。

 開幕戦で4番を務めたが、ここまで24試合出場で打率・205。けが人が続出し、複数のポジションを守れる選手が求められる状況でもあり、起用が一塁か指名打者に限定される井上の登録抹消は仕方ないのかもしれないが、存在感のある選手だけに寂しい気持ちは否めない。

 身長1メートル80、体重115キロの巨体を誇るパワーヒッター。18、19年には2年連続で24本塁打をマークしている。見た目通りの豪放さで、ヤマを張ってフルスイングすることもあるが、実は「バッティングは技術」と言い切る職人肌の選手。派手な活躍だけでなく、求められる時に犠飛や進塁打という仕事をしっかりこなしている印象も強い。

 4月19日の日本ハム戦で侍ジャパンの伊藤から右中間へ放った1号2ランのインパクトは強烈だった。今季から日本ハムの本拠地となったエスコンフィールド北海道は、日本初の非対称の球場で左翼までの距離が右翼までよりも短く、一般的には右打者有利とされる。そのことを井上に振ると、こちらの予想とは違う答えが返ってきた。

 「狙うなら右中間かな。“打感”がいいし、オレの打球は向こうが伸びるから」

 井上が“打感”と表現した感覚的な部分は理解できなかったが、予告通りの右中間弾に思わず、うなった。

 チームは吉井マジックとも言われる、指揮官の采配と若手の躍進、投手陣の踏ん張りでパ・リーグ単独首位を守って交流戦に突入した。井上について吉井監督は「スタメンで出てなんぼの選手。2軍で打撃の調子を上げて、また、こっちが苦しい時に助けてもらえたら」と話していた。長いシーズンを戦い抜くにはベテランの力も不可欠。また1軍に戻ってきて活躍してくれる日を楽しみにしている。
(ロッテ担当・大内 辰祐)

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