無双「大雨降太郎」の勝ち運思考 19年ぶり快挙&岡田監督600勝呼んだ「雨降ってきた、よっしゃー!」

[ 2023年5月14日 06:15 ]

セ・リーグ   阪神7-2DeNA ( 2023年5月13日    甲子園 )

ノイジー(右)からのメッセージい笑顔を見せる大竹(撮影・北條 貴史)
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 まさに「大竹無双」だ。阪神・大竹耕太郎投手(27)が13日、DeNA戦に先発し、降りしきる雨の中で6回を4安打1失点と粘りの投球で開幕から5戦5勝とした。37年秋の御園生崇男、04年の福原忍以来、球団3人目の快挙。チームの貯金6のうち一人で「5」を稼ぎ、勝利数は両リーグ単独トップだ。早大の大先輩・岡田彰布監督(65)に通算600勝目となる白星を贈り、チームを4月22日以来の同率首位へと導いた。

 砂漠の中に生えている草のごとく――。本名をもじり「大雨降太郎」とささやかれる雨男・大竹にとっては、この日の雨も天の恵みだ。「雨降ってきた、よっしゃー!みたいな」。ぬかるむ足元、滑る指先、狭まる視界…。普通は降り続く雨に負の感情を抱き、集中力が鈍る。大竹は違う。「ダメじゃん…ではなく、逆にワクワクする感じで」。モチベーションに変え、テンポ良く投げ続けた。だから、3回に先制を許しても、すぐに援護を受けた。

 「1―0で負けている状態の中、点を取ってもらって、それもたくさんもらった。配球の中でも余裕を持って、引き出しの中身を全部使わずに終われた」

 6回96球。うち36球は、失点した3回に費やしたものだ。4回1死一塁で大和を三ゴロ併殺、6回1死一塁で牧を投ゴロ併殺に斬るなど、要所を抑えた。ただ、大竹がハイライトに挙げたのは、4―1で迎えた4回の攻撃。無死一塁から、自身の第2打席で決めた送りバントだった。

 「それが一番です。梅野さんに練習で教えてもらったので、それを生かしました」

 この試合まで10打席連続三振。スリーバント失敗による三振もあった。11日の試合前練習でバントが得意な梅野に「膝をクッションのように使えばいい」と助言された成果を出し、ノイジーの適時二塁打を呼んだ。3回の第1打席では四球を選び、ノイジーの中犠飛でプロ初得点。攻守で貢献し、チームを4月22日以来の同率首位に導いた5つ目の白星は格別だった。

 早大の先輩・岡田監督の通算600勝には「試合前まで正直、存じあげなかったんです」と苦笑いしつつ「監督を胴上げするために、もっともっと頑張りたい」と力を込めた。規定投球回未満ながら防御率0・59。ソフトバンク時代の19年に記録した自己最多の勝利数に、もう並んだ。無双ロードを突っ走る左腕だが、本人は冷静だ。

 「ダッシュ10本、って言われると、9本目くらいがキツい。目標を“ここ”って決めると、直前でバテる。目の前の試合をやっていけば“こんなところまできた”ってなる」

 この輝きは、しばらく陰りそうにない。 (八木 勇磨)

【大竹無双アラカルト】
 ★開幕5戦5勝 阪神投手で勝敗なしの試合を挟まない無傷の5連勝は、04年福原忍の5連勝以来19年ぶり、福原以前は1リーグ時代の37年秋、御園生崇男の6連勝で、大竹はチーム3人目。
 ★初対戦に強い DeNA戦は初登板。通算10球団目となった初対戦は8勝0敗で、ソフトバンク時代の18年ロッテ戦からは7カード連続で初戦勝利。勝敗のつかなかった日本ハムには2戦目、オリックスにも4戦目で無傷初勝利しており、全カードで白星スタート。全12球団勝利達成へ、残るは巨人と古巣・ソフトバンクの未登板2カード。
 ★対セ球団8戦8勝 ソフトバンク時代の19年に交流戦3試合に登板して、阪神戦を含む3勝。阪神移籍後の今季とでセ球団相手は8戦8勝中だ。

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