阪神・岡田監督 5305日ぶり単独首位浮上も「一喜一憂するな」 アレ達成へ「同じようにしてたらいい」

[ 2023年4月16日 05:15 ]

駐車場をあるく岡田監督(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 15日のDeNA戦が雨天中止になった阪神は、首位で並んでいたヤクルトが同日の広島戦で敗れたため、今季初めて単独首位に浮上した。百戦錬磨の岡田彰布監督(65)は、横浜スタジアムで23年ぶりの9連敗を喫した前夜の試合後の雰囲気を危惧。18年ぶりの「アレ」を達成するためには、一つの勝敗で「一喜一憂するな」と訴えた。

 午前10時半、早々とDeNA戦の雨天中止が決まった。投打がかみ合わない試合が続きながらも貯金3をつくっている状況が、岡田監督の心にゆとりを持たせているのか。それとも、焦る時期ではないことを熟知しているからか。試合が流れたことを気にも留めず「雨男がぎょうさんおったらしゃあない」と軽口で報道陣を笑わせた。

 この自然体の姿勢こそ、長い戦いに必要なのかもしれない。指揮官が気にかけたのは、エース青柳がDeNA打線につかまって完敗を喫した前夜、試合後のベンチのムードだった。明るさが売りであるはずの若いチームが静まりかえったようで、「なんで暗くなるんかな。負ける時もあるやん」と残念がった。

 貯金33を蓄えて優勝に導いた2005年でも、シーズンで54敗を喫した。勝った負けたを繰り返すのが長いシーズンの常で、落ち込んでいる暇はないと説く。前日に横浜スタジアムで年またぎの9連敗。きょう16日も敗れて2000年に並ぶ球団ワーストの10連敗となったとしても、岡田イズムならば、鼻歌を歌いながら帰るぐらいでちょうどいいのだ。

 逆もしかり、とくぎを刺すことも忘れなかった。快勝しても浮かれるなとばかりに、「全部勝てるわけやないやんか。一喜一憂せんでも、同じようにしてたらいいんや」と、改めてプロとしての心得を論じた。「ミスがゼロで終わるわけないんやから、絶対にな。余裕がないんかな。143試合、全部完璧なんてでけへん」とも続けた。

 前回チームを率いた04~08年の第1次政権に比べれば、選手の顔触れが若い。「伸びしろが楽しみ」と常々口にしてきた思いはシーズン12試合を終えた今も変わらず、「目いっぱいプレーしている状況が、余裕を持ってできるようになればな」と、終盤戦に向けて心身の成長を願った。

 首位で並んでいたヤクルトが広島に敗れ、今季初めて単独首位に浮上した。岡田阪神の単独首位は、08年10月5日以来5305日ぶり。それでも百戦錬磨の指揮官は顔色一つ変えず、打つべき手を打ち続ける。(倉世古 洋平)

 【データ】阪神は今季2度目の雨天中止。この日、同率で首位だったヤクルトが広島に敗れたため、チームは今季初の単独首位に浮上した。21年9月21日以来571日ぶりで、岡田阪神では08年10月5日以来5305日ぶり。

 ▽05年V岡田阪神順位推移 開幕戦黒星のあと4連勝。7試合目の4月8日に初の単独首位に立った。4月28日~5月3日に5連敗して、首位と最大5ゲーム差の4位になったが、直後の交流戦を3位(セ球団トップ)の好成績で挽回。6月9日以降は単独首位をキープ。9月14日に優勝へのマジック13を初点灯させると、同29日、2年ぶり5度目のリーグ優勝を決めた。

続きを表示

2023年4月16日のニュース