阪神の新「8回の男」石井 “あの1球”に後悔なし 一番自信のある球で勝負した結果と受け止めて

[ 2023年4月16日 08:00 ]

12日の巨人戦で、岡本和に同点弾を浴びた阪神・石井
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 【畑野理之の談々畑】DeNA戦が雨天中止となり、リラックスモードだった阪神・石井大智に改めて12日巨人戦の「1球」について聞いた。先発の村上頌樹が7回まで完全投球も8回表の打席で代打を送られて交代。1―0の8回裏に登板したのが石井で、先頭・岡本和真への初球149キロ真っすぐを左中間席へ同点本塁打された。

 「真っすぐを選択したことに悔いはありません。頌樹のプロ初勝利を消したことは今でもすごい申し訳ない気持ちですが、自分の一番自信のあるボールを投げて、それを打たれました」

 巨人の4番打者が石井の武器である真っすぐを、しかも初球からフルスイングしてくることは、捕手の坂本誠志郎との打ち合わせでも想定はしていた。変化球から入ろう…や、ボールゾーンで様子を見ようの考えはなかった。「頭の中できちんと整理して決めたストレート。だからしっかりと(左)足を上げて、いつも通りの、一番力の伝わるフォームで目いっぱいに投げました」

 ただ、岡本和にも自分の間合いでテイクバックを取られ、タイミングを合わされてしまった。翌13日も8回先頭で対戦し、初球の148キロを中飛。同じ球種でリベンジに成功したが、一つ違ったのはこの時はクイックだった。

 無走者でもセットポジションから投げる石井は普段からクイックを交ぜる。高めゾーンで勝負する際には腕の振りやリリースポイントを微妙に変えて、直球の軌道を浮き上がらせるようにも見せている。打者のタイミングをずらす、さまざまな工夫で真っすぐの精度をより高めている。

 被弾後、もしも、クイックだったら結果はどうだっただろうの思いは確かに巡ったというが、3日が経過し、今は一番自信のある球で勝負して後悔はしていないと結論づけた。

 「頌樹からの“落ち込まないでください”の言葉に救われました。コーヒーの一杯でもおごった?そんなことをしても喜ばないと思うので…」。そこで飲み込んだ続きの言葉は、次は任せておけよ…だったはずだ。いずれにしても、間違いなく今季を象徴する一試合になる。村上は自信をつかみ、石井も新「8回の男」として頼もしくなった。

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