【対談】落合博満氏「ホームランバッターって認めてるのは1人」と語った田淵氏の美学

[ 2023年4月11日 17:15 ]

対談を行った落合博満氏(左)と田淵幸一氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(69)が11日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。YouTube開設1年がたち、新企画として対談企画「博満の部屋」をスタートした。その記念すべき第1回目は強打の捕手として鳴らした田淵幸一氏(76)を招いて対談が行われた。 【動画】対談企画「博満の部屋」第1弾は田淵幸一氏

 7歳違いという2人の対談は、落合氏が質問し、田淵氏が答えるという流れで進行した。現役生活の中で「外野も一塁もやった」と話す田淵氏に対し、落合氏が「でも、やっぱり、キャッチャー、田淵っていうイメージの方が強いけどね」と話を向けると、田淵氏は「だけど俺は、野村(克也)さんみたいに、生涯一捕手じゃないから」と話した。そして、田淵氏がエピソードを明かした。

 「(阪神時代は)村山(実)さん、江夏(豊)。球界を代表するピッチャーとバッテリーを組んだっていうのが、逆に良かったかもしれないね。今でも忘れないのが、江夏(の球)をブルペンで受けるでしょ。2時間くらい投げるのよ。“ぶっちゃん、ミット動いちゃダメだよ”って言ったの。(球が)速くて。学生の頃はそんな速いのいないからとれてたのよ。“ぶっちゃん、ストライクがボールになるよ”って言われて。“ちきしょう、俺よか2つくらい後輩なくせにと思いながら、宿舎帰って鉄アレイで二の腕を一生懸命こうやったの」と球速に負けない左腕をつくろうとしたという。

 「それがホームランにつながった。今思えば、高校3年の時に、合宿したときに、風邪をひいて2日間休んだのよ。3日目に出て行ってバッティングしたら、力が入らない。力入らんけど、ボールのぶつかる瞬間だけ、力入れればいいなと思ったら、ボールが飛んだんだよ。元々、王(貞治)さんも俺も、懸垂とか腕立てできないからね。当たる瞬間しか頭になく、パン!って打ったらボールが飛んだ。それが最初のホームランの始まり」と語った。落合氏が「コツをつかんだっていうことですよね」と話すと「そうそう。風邪をひいたおかげで」とうなずいた

 落合氏は「俺の中ではね、プロ野球何百人、何千人っている中で、ただ一人なんですよ、ホームランバッターって認めてるのは。田淵さんだけなんだよ。天性のホームランバッター。あの打球の角度といい放物線といいね、あれは人にはまねできないものだから」と真面目に話すと、田淵氏は少し照れた様子で「素晴らしいアーチを描くホームランバッターっていうのは聞いたことあるけど」と返した。

 「自分はオチ(落合氏)みたいにさ、3冠王3度もとってよ、こっちにも、こっちにも(広角に)ヒットは打つ、ホームランは打つという技術は俺にはなかったから。頭の中にセンターから左(方向)しか俺は打たないっていう感じだから。左腕でボール拾って、左中間にもっていくっていうのが、俺は理想のホームランを打つ形だと思う。体重は右足に残して、右足で中心で打つんだっていうか。こっち(右足)がエンジンだとしたら、こっち(左足)は舵」と熱っぽく話した後、「理論言わせたら、あなたには勝てません」と締めくくった。

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2023年4月11日のニュース