ヌートバー 三拍子侍! 初打席初球初安打からマルチ!快速で二盗!ダイビング好捕!

[ 2023年3月10日 05:05 ]

WBC1次ラウンドB組   日本8-1中国 ( 2023年3月9日    東京D )

<日本・中国>4回、ヌートバーは敵失で出塁する(撮影・沢田 明徳)
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 本物の侍だ。セレモニーでは「君が代」を歌った。鬼気迫る全力疾走をした。「たつじ」コールで沸いた。1番・ヌートバーは本物の侍だった。

 「大観衆の前で本当に素晴らしいゲームだった。日本で両親と勝利の瞬間をシェアできたのはスペシャルだ」

 初回先頭。初球を中前打し、先制のホームを踏んだ。4回は一塁内野安打をもぎ取り、2点目の生還を果たした。8回は足がつったようなしぐさをして栗山監督がベンチを出たが、右手で制し四球を選んだ。2安打2四球1失策で5度出塁した。守備でも3回、二塁後方に落ちそうな打球に猛チャージ。舌をペロリと出しながら、スライディングキャッチ。大谷も両手を上げて喜んだ。

 来日してからは、毎朝納豆ご飯を食べている。米国でもおやつ代わりに食べていたが、朝の習慣になった。言葉の壁を心配していたが、祖父に由来するミドルネーム「タツジ」から「たっちゃん」のあだ名で呼ばれ、全員おそろいのTシャツで迎えられた。全力疾走は「私は日本代表としてプレーしている。打ったら100%で走ることが求められている」という思いだった。

 幼少期から母の教えは3つあった。「一つ、年長者をリスペクトしなさい。二つ、時間を守りなさい。三つ、友達と仲良くしなさい」。このルールの中で誰からも愛される人柄が育った。こしょうを引くように手を回す「ペッパーミル」パフォーマンスはすぐさま、日本のナインに浸透。この日も安打で出塁するたび全員が行った。

 大谷は特別な存在。中堅の守備位置を守りながら「ビデオゲームのような世界を経験できた」という思いだった。「第1打席の初球を待ち望んでいた。ヒットになって喜ばしかった」という一打から始まった日本代表戦。21年のメジャーデビュー戦は両親は結婚記念日のタヒチ旅行中だった。ファミリーにとって特別な日になった。(神田 佑)

 ◆ラーズ・ヌートバー 1997年9月8日生まれ、カリフォルニア州エルセグンド出身の25歳。高校時代はアメリカンフットボールでQBとしても活躍。南カリフォルニア大から18年ドラフト8巡目(全体243番目)指名でカージナルスに入団。21年6月にメジャーデビュー。昨季は108試合に出場し、打率.228、14本塁打、40打点。1メートル90、95キロ。右投げ左打ち。

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