日本ハム・ポンセ、28人斬りノーヒッター!シーズン5人目は82年ぶりプロ野球最多タイ

[ 2022年8月28日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム2-0ソフトバンク ( 2022年8月27日    札幌D )

<日・ソ>無安打無得点試合を達成し祝福を受けるポンセ(中央)(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムのコディ・ポンセ投手(28)が27日、札幌ドームで行われたソフトバンク戦で史上87人目(通算98度目)の無安打無得点試合を達成して3勝目。自慢の長髪をなびかせながら113球を投じ、許した走者は初回の死球と9回の四球のみで、28人斬りで決めた。チームでは95年の西崎幸広以来27年ぶり。シーズン5人の快挙達成は草創期の1940年以来、実に82年ぶりとなるプロ野球最多タイ記録となった。

 終盤は何度も札幌ドームの天井を見上げ、17年に脳腫瘍で亡くなった母・ジェニファーさんに語りかけた。「お母さん、お願い。頼むよ」。すると常々言われていた言葉「Keep going(その調子で)」を思い出し、自然と気持ちが落ち着いた。「吐きそうだった」ほどの緊張感に包まれていた9回1死一塁。最後も冷静さを失わず、今宮を遊ゴロ併殺に打ち取った。

 米国でのアマ時代も含めて自身初の快挙。チームの連敗も8で止めた快挙達成直後は感情を爆発させ、何度も吠えた。会見の冒頭は「やっちゃいました」とちゃめっ気たっぷりに笑ったが「記念球はどうするか?」と問われると言葉に詰まり、目に涙が浮かんだ。「ボールもグラブもユニホームも、全てお母さんに渡したい。お母さんに助けてもらいながら達成できた」。試合後は米国の父・ジョーさんに電話で報告した家族思いの右腕は、幼少期からたくさんの愛情をもらった母に感謝した。

 ポンセより前に生まれた今季の4度の無安打無得点試合は気温が上昇する夏よりも前に集中。夏場は投手陣の疲労がたまる時季で打高投低の傾向が強いが「汗をかくのが好き。イニング間で体が冷えない利点がある」と前向きに捉える。この日も得意のツーシームが右打者7人を並べた相手打線を圧倒。113球で直球の27・4%を上回る、球種別最多の28・3%を投じ、走者は初回の死球と9回の四球のみだった。これで同球種の対右打者の被打率は・167。動く速球が、夏場に入って威力を増している。

 19年の「プレミア12」で米国代表で来日し、東京ドームの大歓声に心が震え「いつか必ず日本でプレーする」と誓った。あれから3年。メジャー通算20試合で1勝もジャパニーズドリームをつかむために来日。今季限りで04年からの本拠地としての役割を終える札幌ドームでの初登板で、球史に残る快投を演じた。(東尾 洋樹)

 【コディ・ポンセ】☆生まれとサイズ 1994年4月25日生まれ、米カリフォルニア州出身の28歳。1メートル98、116キロ。右投げ右打ち。

 ☆主な成績 15年ドラフト2巡目(全体55位)でブルワーズ入団。19年途中にパイレーツに移籍し、パ軍時代の20年8月にメジャー初昇格。大リーグ通算20試合(先発5試合)登板で1勝7敗。防御率5.86。

 ☆YouTube 「Cody Ponce」のチャンネル名で11年2月から開始。今年3月に来日後はホテルでの隔離生活や、トレーニング風景などを定期的にアップしている。チャンネル登録者数は約1570人。

 ☆ニックネーム 千葉・鎌ケ谷の2軍施設で練習中に大声を発し、大柄な体格でもあることから石川亮、達らが「熊」と命名。なぜか「自分の体に刻もうと思った」と右手首に漢字で「熊」と入れ墨を入れる。

 ≪ボール粗悪で極端な投高打低≫プロ野球5年目の40年は5人のノーヒッターが誕生し、あと1人でノーヒットノーランを逃した投手も2人出た。当時は質の悪いボールの影響で打球が飛びにくく極端な投高打低。リーグ全体の防御率は優勝した巨人の1.56を筆頭に2.12。個人別では野口二郎(翼)が0.93、須田博(スタルヒン、巨)が0.97と防御率0点台の2投手を代表に好投手が活躍した。リーグ全体の打率は.206で最高でも巨人の.237。亀田忠(イーグルス)、石田光彦(阪急)の2人にノーヒットノーランを許したライオンはリーグ最低の打率.187だった。なお翌41年も3人がノーヒットノーランを達成。草創期は投手に比べ、打者の技術が未熟だった。

 ≪ノーヒッターアラカルト≫☆球団6人目 ポンセ(日)がプロ野球87人目、98度目のノーヒットノーランを達成。チームでは95年西崎幸広以来27年ぶり6人目で、外国人および北海道移転後初。

 ☆助っ人7人目 外国人投手では06年ガトームソン(ヤ)以来7人目。そのうちパでは85年郭泰源(西)、00年エルビラ(近鉄)に次ぎ3人目。

 ☆シーズン5人目 今季は佐々木朗(ロ)の完全試合を含めノーヒッターが5人。シーズン5人は40年に並ぶ82年ぶり2度目のプロ野球最多タイ記録だ。また、前回は4球団の5投手となっており、5球団の投手が達成したのは今季が初めて。

 ☆札幌で2人目 札幌Dでは6月7日日本ハム戦の今永(D)に次ぎ2人目の快挙。同一球場でシーズン2人は、95年東京Dの西崎(日)、ブロス(ヤ)以来。今季が最後となる本拠地で27年ぶりの記録が生まれた。 

 ☆パ初の幕切れ 最後は今宮の遊ゴロ併殺。最後を併殺打で締めたノーヒットノーランは99年佐々岡真司(広)以来両リーグ2人目で、パでは初めて。

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