新井貴浩氏 好守と紙一重だった小幡の悪送球 攻めた結果のエラーは次に生かしていけばいい

[ 2022年8月7日 07:15 ]

セ・リーグ   阪神5-6広島 ( 2022年8月6日    マツダ )

新井貴浩氏
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 【新井貴浩 視点】藤浪はいい投球だった。1軍では久しぶりの先発で緊張感もあったと思う。早い段階で先制点、追加点と援護してもらったことで、気持ちの部分でも余裕が生まれ、腕も思い切りよく振れた。

 球が適度に荒れるのは藤浪の良さで、打者からすれば狙い球を絞りづらい。その上で、しっかりストライクを先行させた。追い込んでからはフォークなど変化球の精度が高く、低めに制球できたので三振も多く取れた。4月に比べれば、直球で空振りさせる場面も増えた。

 100球を超えたところで交代。1軍で先発するのは4月以来で、肉体的にも精神的にも疲れ方が2軍とは違う。7回を投げきれなかったからといって評価は落ちない。今回は白星は付かなくても、プレッシャーもあった中でしっかり先発として試合をつくった。首脳陣に「次も先発させてみたい」と思わせる投球になったのではないか。

 9回は菊池涼の遊ゴロがイレギュラーする不運もあって逆転された。結果としては小幡の悪送球が響いてしまった。無死一、二塁から二塁右へのゴロをスライディングしながら好捕。岩崎が一塁ベースカバーに入ってくるところも視界に入ったと思う。送球が正確ならアウトにできたはずで、好守と紙一重のプレーだった。

 点差と状況を考えて「投げなくてもよかった」という指摘はしたくはない。記録上はエラーが付いても、決して後ろ向きなミスではない。攻めた末の結果だ。最初からアウトにできないと諦めていたら、失策はない代わりに成長もない。まだ4年目の21歳。失敗することは若い選手の特権だ。失敗を次にどう生かしていくか。攻める気持ちは持ち続けてほしい。(スポニチ本紙評論家)

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