29年ぶりの甲子園 1球のボール球に目を奪われた

[ 2022年8月7日 05:45 ]

一関学院・小野涼
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 夏の甲子園。普段はプロ野球の現場が多いため、取材に訪れるのは入社2年目の1993年以来、29年ぶりだった。6日の開会式、そして1回戦3試合。特に第3試合の京都国際(京都)―一関学院(岩手)は熱戦だった。延長11回、一関学院が6―5でサヨナラ勝ち。昨夏ベスト4を相手に金星を挙げた。

 2点リードの9回。1球のボール球に目を奪われた。この回を抑えれば勝利できる一関学院の小野涼―後藤のバッテリーは、先頭打者へのカウント1ボール―2ストライクからの4球目を高めに外したのだ。勝負を急がない冷静さにうなったし、加えて小野涼は下手投げ。高低差を生かすための配球だったとの意図が伝わってきた。

 ただ、2ボール2ストライクと並行カウントにしてしまったのが気になった。この場面、何より避けたいのは先頭打者を出塁させること。嫌な予感は当たり、ここから先頭打者に四球。さらに次打者にも四球を与え、その後に同点に追い付かれてしまった。結果論かも知れないが、1球外すことなく勝負に行っていたらどうなっていたか――。勝負のあやだ。そんなことをずっと考えながら延長戦を見ていた。

 自分のすぐ横には、横浜高校OBの松坂大輔さんがいた。テレビ朝日系「熱闘甲子園」の取材。延長11回の熱戦をネット裏の記者席で静かに、かつ熱心に最後まで見守っていた。「平成の怪物」が夏の甲子園に帰ってくるのは、決勝で京都成章相手にノーヒットノーランで春夏連覇を決めた1998年8月22日以来、実に8750日ぶりだ。

 本紙評論家である松坂さんにはスポニチでの観戦記もお願いした。掲載は7日付紙面。松坂さんの甲子園への思いや、球児へのメッセージ…。ぜひ一人でも多くの読者に読んでほしい。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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2022年8月7日のニュース