松坂大輔氏 明日の怪物たちへエール「一生忘れられない時間に」24年ぶり夏の聖地「やっぱり特別」

[ 2022年8月7日 04:05 ]

第104回全国高校野球選手権大会開会式を訪れた松坂大輔氏(撮影・藤山 由理)
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 「平成の怪物」が、8750日ぶりに夏の甲子園に帰ってきた。西武、レッドソックスなどで活躍した松坂大輔氏(41=スポニチ本紙評論家)が6日、甲子園球場を訪問。開幕を迎えた第104回全国高校野球選手権大会をネット裏から取材した。横浜時代の98年夏には8月22日の決勝で京都成章を相手にノーヒットノーラン。春夏連覇を遂げた日から24年ぶりに聖地で球児のプレーを目にし、高校野球への思いを熱く語った。 

 甲子園球場。やっぱり特別な雰囲気がありますね。この雰囲気が大好きです。横浜高校を卒業して、プロ入り後にも何度も来て実際にプレーもしましたが、毎回ここに来るとうれしかった。いろいろな顔、表情を持っている球場だと思います。

 夏の甲子園に足を運ぶのは98年夏の決勝以来です。昨日も「いよいよ開幕だ」とワクワクしていましたが、コロナ禍の影響でイレギュラーな開会式。行進できなかった選手は悔しかったでしょう。そんな中で横浜の後輩・玉城(陽希)主将の選手宣誓は素晴らしかった。こういった世の中で、難しい状況の中で野球を続けてきたんだな、という思いが伝わってきました。見ている人、聞いている人が元気や勇気をもらえるような宣誓だったと思います。

 98年の良男(小山主将)も凄くいい選手宣誓でした。21世紀、希望、勇気という言葉を入れて、人のことを励ますことのできるような。チーム全員で話して、アイデアを出し合った記憶があります。あと開会式の思い出は、とにかくずっと写真を撮ったり、サインを書いたり…。行進の前に疲れてしまったのを覚えています(笑い)。

 横浜での3年間。自分一人では何も成し遂げられなかったと思います。野球は一人ではできません。グラウンド内外で本当にたくさんの人に支えてもらいました。その人たちのおかげで自分はずっと野球を続けてこられました。

 当時の渡辺元智監督には技術的な失敗や結果で責められた記憶はほとんどないんです。失敗から選手が何を学び、どうはい上がろうとしているのかを凄く見られていたと思いますね。失敗をしない選手はいません。それをみんなでカバーする。自分も何度仲間に助けてもらったか分かりません。「One For All」。一人はみんなのために。帽子のひさしに書き込み、胸に刻んでやってきました。

 3年夏に達成した春夏連覇は「おまけ」のように感じています。凄いことをやり遂げたという思いもない。同級生と集まった時も普段の練習がどれだけ厳しかったとか、そんな話ばかりですから。みんなで3年間頑張ったご褒美、野球の神様からの最高のプレゼントを自分たちが受け取れただけのことです。たまたま自分たちが選ばれただけで、チャンスは誰にでもあった。全国のみんな、誰もが頑張っていましたから。

 全国47都道府県の代表。球児の皆さんには少しでも長い時間、甲子園で過ごしてもらえたらと思います。こうやって開催できたこと自体、本当に良かったですし、地方大会を勝ち抜いてこの甲子園という舞台に立てることは幸せなこと。一生忘れられない時間になるでしょう。一日でも、一秒でも長く甲子園でプレーできるように。そう願っています。

 甲子園の持つさまざまな表情。その時の自分の立場で違って見えたりもするでしょうし、高校生同士が試合をしている時にしか出ない球場の雰囲気もあるでしょう。22年、夏。甲子園がどんな顔を見せ、どんな雰囲気を醸し出すのか。それも楽しみにしています。

 ≪恩師の渡辺元智氏と再会≫松坂氏は甲子園ネット裏の取材スペースで、高校時代の恩師で横浜元監督の渡辺元智氏(77)にあいさつ。「久しぶりにお会いしました」と旧交を温めた。渡辺氏は「ここ(甲子園)で会えたのはありがたいこと。家族の話ですね。(松坂氏の)せがれが野球をやっているとか、そんな話をしました」と再会を喜んでいた。

 ≪新旧主将の意外な縁≫98年夏の開会式は今年と同じ8月6日に行われた。横浜・小山良男主将が「21世紀に向けて多くの人々に生きる勇気と希望を与えることができるように、全力でプレーすることを誓います」と選手宣誓。今年の宣誓を務めた玉城陽希主将は中学時代、小山主将と同じ中本牧シニアでプレーし、ポジションも同じ捕手だ。松坂氏は「そんなつながりもあるんですね、良男と。そういう縁も横浜高校の味方になってくれたらいいと思いますね」と話した。

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