新井貴浩氏 苦しい時こそアグレッシブな姿勢 阪神投手交代で、9回広島の攻撃的な打撃が逆転呼んだ

[ 2022年8月7日 07:00 ]

セ・リーグ   広島6-5阪神 ( 2022年8月6日    マツダ )

新井貴浩氏
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 【新井貴浩 視点】9回は小園が初球を左前打、会沢は2ボールから3球目のファーストストライクを左前打、途中出場で初打席だった上本も初球を二塁右へ内野安打した。追い込まれた土壇場。広島の攻撃的な打撃が逆転に結びついた。

 序盤はストライクの見送りが多かった。相手は藤浪で、適度に荒れていて的を絞りづらい。仕方がない。初球からどんどん積極的に…というのは難しい投手だった。逆に岩崎はコントロールがいい。様子見の姿勢から、投手に合わせて、うまく切り替えができた。3点差を追いかけるには走者をためたい状況。ボールを見てしまいがちなところで各打者とも果敢に打った。苦しいときこそアグレッシブな姿勢が活路を開くのだと改めて感じた。

 8、9回に走者を背負っても追加点を許さなかった中崎、一岡の踏ん張りも大きい。突き放されていれば9回の逆転はなかった。8回1死二、三塁のピンチでは前進守備だったキク(菊池涼)が見事な本塁送球を決めて失点を防いだ。キクはどの打席でも全力疾走を怠っていない。どんなに厳しい状況でも諦めず、自分たちにできることをやっていれば、勝機は生まれる。

 後半戦が始まってからチームは負けが続き、苦しい日々だったと思う。8月6日は広島の人々にとっては特別な日だ。こういう日に諦めずに逆境をはね返して勝った。再スタートを切れたし、乗っていけると思う。

 サヨナラ打の秋山がヒーローインタビューで「外から来た人間ですけど~」とファンに向けて話していた。広島は一度でもユニホームを着たら“家族”になる。「外」も「中」もないよ。家族の一人として遠慮することなく、思い切りやってくれたらいい。(スポニチ評論家)

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