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雨の甲子園に消えた「幻の一打」を忘れない ノースアジア大・渡辺勇伸は地元秋田で腕を磨く

[ 2022年5月23日 10:30 ]

「失敗もするけど先輩に励まされています」と感謝する渡辺(撮影・柳内 遼平)
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 富士大、八戸学院大など強豪がひしめく北東北大学リーグに所属するノースアジア大の渡辺勇伸内野手は、1年生ながら主に指名打者で出場を続けている。青森中央学院大との開幕戦では「3番・DH」で2安打を放って存在感を発揮。昨夏はノースアジア大明桜(秋田)で甲子園に初出場した男の現在地に迫る。

 高校時代は華麗なグラブさばきを見せる三塁守備に定評のあった渡辺。現在は1試合に約5分ほどしかグラウンド上にいない指名打者を担っている。人生初めてのポジションに「体力的には楽ですけど、打撃がダメだったらすぐに替えられてしまう。難しいですね」と実感を語った。

 大学1年生が対応に苦しむ木製バットへの順応は早かった。芯を外れれば折れる可能性がある反面、バットの「しなり」を意識したスイングがしやすくなるメリットもある。右投げ左打ちの巧打者は「木の方が振りやすい。芯に当たれば金属より飛ぶのかなと思います」と言う。打撃フォームもバットを寝かせるようにトップの位置を修正し、よりシンプルにバットが出るようになった。

 昨夏の甲子園では1回戦の帯広農(北海道)戦で聖地初安打となる左前打をマークするも、雨天でノーゲームに。仕切り直しの一戦でも、敗れた2回戦の明徳義塾(高知)戦でも甲子園の電光掲示板に「H」を灯すことはできなかった。「幻の一打」となってしまったが「中学時代のチームにあいさつに行った時も言われました。逆に話の話題になっていいかなと思います」と笑う。記録にはならなくても、渡辺の両手にはヒットの感触が今も残っている。

 甲子園でともにプレーした仲間が全国にいる。左腕・栗城蓮は強豪が集う東都大学リーグの日大に進み、外野手の佐藤秀悟は神奈川工科大に進学。チームの大黒柱だったエースの風間球打はソフトバンクにドラフト1位指名を受けてプロの世界に旅立った。秋田で生まれ育った渡辺は地元のノースアジア大で腕を磨くことを決めた。

 「先輩たちから励ましの言葉をもらって、自分のプレーしやすい環境をつくっていただいています。4年間でベストナインを絶対に取りたい。(高校時代の仲間の活躍は)刺激になっている。自分も社会人野球までやれたらという思いはあります」。高校時代より伸びた髪と自信に満ちた表情で意気込んだ。(柳内 遼平)


 ◇渡辺 勇伸(わたなべ・ゆうしん)2004年2月18日生まれ、秋田県秋田市出身の18歳。小3から野球を始め、桜中では「秋田シニア」でプレー。2学年上の兄・浩伸さんは秋田商、桐蔭横浜大で内野手としてプレー。50メートル走6秒3。遠投90メートル。1メートル74、72キロ。右投げ左打ち。

 ○…東都大学リーグの日大に進学した最速140キロ左腕・栗城蓮投手(1年・ノースアジア大明桜)は高校時代より7キロアップの80キロまで増量し「故障もあったので、まずは体づくりから。全ての面でレベルアップしたい」と力を込めた。甲子園では2回戦の明徳義塾戦に救援登板。腰の故障で痛み止めを飲んでマウンドに上がり、1回2/3を3失点。憧れの舞台で35球を投じ「仲間と全力で楽しめた」と振り返った。

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