東京ガス 初日本一!創部94年、プロ多数輩出の名門ついに悲願 先発・臼井好投で号泣橋戸賞

[ 2021年12月10日 05:30 ]

第92回都市対抗野球大会決勝   東京ガス6-5Honda熊本 ( 2021年12月9日    東京D )

<Honda熊本・東京ガス>初優勝し山口監督を胴上げする東京ガスナイン(撮影・久冨木 修)       
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 東京ガス(東京都)が創部94年で悲願の初優勝を飾った。Honda熊本を6―5で撃破。先発の臼井浩(いさむ)投手(27)が7回6安打1失点の好投し、橋戸賞(最優秀選手)も受賞した。17年に就任した山口太輔監督(44)が、22度目の出場の名門を日本一に導いた。Honda熊本は3本塁打で1点差まで追い上げたが、02年に続く準優勝に終わった。

 涙が止まらなかった。マウンド上の歓喜の輪に加わる前から臼井は号泣していた。仲間に抱かれた肩が震える。先発で7回6安打1失点と好投し、悲願の初優勝への道筋をつくった右腕は、真っ赤な目で喜びを口にした。

 「勝てなかった時期を乗り越えて、チームを勝たせる投手になることができてうれしい」

 22度目の出場で初めて進んだ決勝。臼井は今大会初先発だった。1メートル68の27歳は初回の3点の援護を受け、リズムよくアウトを重ね試合の流れを引き寄せた。計4試合で14回2/3を投げ、防御率1.23。橋戸賞を獲得し、初優勝に貢献した。

 6月1日の日本選手権関東代表決定戦。先発したが5回途中6失点KOされ、大敗した。思うように結果が出ず、チームもバラバラになりかけた危機で、山口太輔監督が動いた。「俺は日本一になりたい。そう思っていない選手は言いに来い。会社に戻してやる(引退させる)から」。劇薬ともいえる強い叱咤(しった)だった。「そういうことを言わせるようなチームでは到底、勝てない」と振り返った臼井も含め、チームの雰囲気は一変。「自分のためではなくチームのため、社名のため、東京都のため(に戦う)」と無敗で予選を突破して東京第1代表となり、そのまま頂点に駆け上がった。

 1927年創部で多くのプロ野球選手も生んだ社会人の名門も、過去2年は本大会にすら出場できなかった。日本選手権も78年の準優勝が最高。ようやく日本一をつかみ取った。「OBの皆さん、チーム関係者の方々が受け継いできたものがやっと、94年目にして達成できた。本当にうれしく思います」と山口監督。同じ5年目のシーズンとなった臼井を「出し切ってなかった能力を覚ましてくれた」と称えた。

 コロナ禍で昨年は取りやめられていた応援団による応援が、今大会は復活した。決勝では6901人の観客が熱戦に一喜一憂し、試合終了時は、スタンディングオベーションが約2分間、続いた。「社会人を代表するような選手の仲間入りができた」。臼井は橋戸賞のトロフィーを手に、笑顔を見せた。(柳内 遼平)

 ▽東京ガス 1885年(明18)10月、創立。創立者は実業家・渋沢栄一。資本金1418億円、売上高1兆7651億円。都市ガスの製造、供給、販売など。本社は東京都港区海岸1の5の20。内田高史社長。野球部は1927年創部。主なOBに松沼博久(元西武)、小林雅英(元ロッテなど)、内海哲也(西武)、片岡治大(元巨人など)、美馬学(ロッテ)ら。

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