侍ジャパン・吉田正 五輪開幕戦2安打の活躍の裏に譲れない思い「今回こそ役割全うしたい」

[ 2021年7月31日 05:30 ]

 東京五輪で金メダルを目指す侍ジャパン。楽天生命パークで行われた強化合宿を取材した時のこと。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スタンドから遠巻きに眺めていると、右翼付近でアップをしていた吉田正尚外野手(28)が、こちらにペコリと会釈してから、ニコッと笑った。

 「良い緊張感の中で、体のキレもある。自分の(持ち味の)力強いスイングができるように。勝利に貢献できるように、ベストを尽くしたいです」

 逆転サヨナラ勝ちした1次リーグ初戦の7月28日ドミニカ共和国戦(福島)。劇的な一打を放った坂本が試合後に、「重い雰囲気の中で試合が進んでいた」と振り返ったように、誰もが重圧を感じていたように思う。その中で、吉田正も懸命にバットを振った。

 「3番・左翼」で先発出場し、3打数2安打1四球。初回2死無走者、2ボール1ストライクからの4球目、左腕メルセデス(巨人)の内角低め直球を左前へはじき返しチーム初安打を放ち打線を鼓舞。1―2の8回1死二塁でも左前に運び、二塁走者・山田が惜しくも本塁憤死したものの、結果を示した。

 約1カ月に渡る長期遠征を戦っているが、疲労の色は見せない。シーズン中の7月9日からのソフトバンク3連戦の博多から、東京経由で日本ハム戦の釧路、帯広を周って球宴のメットライフを挟んで仙台へ。7月14日の日本ハム戦で今季初めてスタメンを外れた。オリックス・中嶋監督は理由を明かしていないが、実際は移動や蓄積疲労による首付近の違和感。それでも譲れない思いが勝る。

 「プレミア12ですよね。あの大会で、まだまだレベルが低いなと痛感しました。チームの世界一が1番ですが、僕は決勝の舞台に立てていない。あの悔しさは忘れることはない。あの悔しさを忘れないことが、成長する上で大切。プレーヤーとして、そういうものがないとダメだと思う。今回こそ役割を全うしたいと思っています」

 19年秋の「プレミア12」では打率・200、本塁打なし。外国人特有の「動くボール」の対応や、左のワンポイントリリーフを徹底起用され苦しんだ。世界一の瞬間は、ベンチから見つめた。その悔しさが原動力だ。楽天、巨人との強化試合2試合でも安打を記録し、初戦でも五輪開幕戦でも2安打を記録。確かな成長曲線を、自慢の打棒で示した形。悲願の金メダル獲りへ。稲葉監督ら首脳陣の目にも、頼もしく映ったはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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