大谷 ルースすらできなかった10K三刀流 野茂を超えた驚速100K

[ 2021年5月13日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス1-5アストロズ ( 2021年5月11日    ヒューストン )

アストロズ戦に先発した大谷(AP)
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 「3人の大谷」の中でもマウンドの大谷は圧倒的だった。7回2死、8番ストローをスプリットで10個目の三振に斬った。2桁奪三振は、18年5月13日のツインズ戦以来、3年ぶりで、右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から復帰後は初めて。「取りたいところで取れていたのは良かった」と控えめに喜んだ。

 本拠地アナハイムから移動した翌日の一戦。調子は万全ではなかった。2時間の時差に「疲れというより軽い時差(ボケ)」があったという。それでも7回の最後の打者の初球にこの日最速の99マイル(約159キロ)をマークした。「軽く投げた割には(球速が)いっていた方かな」と淡々と振り返り、「8回も行きたいという気持ちはあったか?」との問いには「そうですね、投げたいというか、行けと言われたら」とうなずいた。今季最長の7回88球で4安打1失点。余力は十分にあった。

 今季の投手としての成長は、直球の精度が上がったこと。昨季の平均回転数は2155だったが、今季は2385にアップした。一般的に2300回転以上がトップクラスと言われる。直球被打率は昨季の・500から・235に低下。「一番割合が多い球種なので、アグレッシブに攻めていかないと、投球の幅も広がらない」。直球の質が上がれば、スプリット、スライダーがより効果的となる。

 4回にアルバレスから奪った空振り三振で、日本選手では斎藤隆に次ぐ2番目で野茂英雄を上回るペースとなる75回1/3で通算100奪三振に到達。通算55本塁打以上&100奪三振以上はベーブ・ルースらに続き史上5人目の快挙となった。打者だけでなく、投手としても進化を遂げている。

 ▽大谷の投手&外野出場 日本ハム時代は2度。いずれも1年目の13年で、6月18日の広島戦では「5番・投手」で先発し、4回3失点で降板後の5回から右翼へ。8月18日のソフトバンク戦では「5番・右翼」で先発出場し、5点ビハインドの8回に1イニングを投げた。どちらの試合も1安打を放った。

 ≪近代野球で3人目≫近代野球とされる1900年以降で2桁奪三振をマークして投手以外の守備に就いたのは、52年カージナルスのハービー・ハディックス(9月28日カブス戦)と、70年インディアンスのサム・マクダウェル(7月6日セネタース戦)以来、大谷が3人目。ハディックスは右翼、マクダウェルは二塁を守った。ただ、2人とも野手を務めたのは1イニング未満で、リリーフ1人を挟んで再びマウンドへ。本職はあくまで投手で、打撃を生かすためのものではなかった。

 ≪5先発で40奪三振≫大谷は今季5度目の先発で25回2/3を投げて40三振を奪い、被安打は11。シーズン最初の5先発で40奪三振以上、被安打12未満は1900年以降で初の快挙となった。

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2021年5月13日のニュース