中畑清氏 巨人に入団したばかりの松井秀喜を思い出す 阪神・佐藤輝に“すり足”のススメ

[ 2021年5月4日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】持ってるなあ。阪神の佐藤輝。初めて4番に抜てきされた2日の広島戦で逆転満塁弾だよ。低めのチェンジアップ。ストライクゾーンに来る変化球なら何でも対応できるんだ。凄いよ。

 球史を変える可能性のある打者。だからこそ気になることがある。両リーグ最多の44三振。ボール球に手を出しすぎのところがあるんだよね。

 1993年、巨人に入団したばかりの松井秀喜を思い出す。今の佐藤輝のように右足を上げて打っていた。57試合に出場して11本塁打、打率・223。高校生ルーキーとしては立派な成績だ。

 でも長嶋茂雄監督は体が硬い松井の一本足打法に限界を感じたんだろうね。秋季キャンプに通算3085安打の張本勲さんを臨時コーチとして招き、すり足打法を伝授してもらおうとしたんだ。

 すり足にすれば、体の上下動がなくなり、長くボールが見える。プロの変化球に苦労していた松井には理想的だったんだけど、本人にその気がなかった。それなりの結果を出したからね。

 打撃コーチだった私が2人の間に入る形でさ。張本さんに「松井にすり足をやるように言ってくれないか」と言われ、松井に伝えたら「僕、別に悩んでませんから」と言う。そこでこう話した。

 「すり足の良さを教えてもらっとけばいいじゃないか。壁にぶつかったとき、こんなやり方があるというのを引き出しに入れとけばいいんだよ」

 松井の打ち方が変わったのは翌94年のシーズン中。両足を小刻みに動かしてタイミングを取り、右足を小さく踏み込んで打ちにいくようになった。本人は「麦踏み」と表現してたけど、まさしくすり足打法だ。この年は全130試合に出て20本塁打、打率・294。確実性がグンと増した。

 今の佐藤輝が当時の松井にダブるんだよね。2日の「サンデーモーニング」(TBS系)で張本さんに話を向けたら「足の上げ方が中途半端。タイミングが取りにくい。タイミングさえ取れれば常時40~50本は打てますよ」。やっぱりね。

 確信したよ。佐藤輝がすり足にしたら、とんでもない打者になる。将来メジャーを意識してるなら、なおさらお薦め。でも、こればっかりは本人が壁にぶつかり、必要性を感じないとね。今はまだ結果を恐れず、振り続けてほしい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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