阪神・秋山を高みへ導く「半歩」 鯉キラー健在を証明した初勝利に隠された努力

[ 2021年4月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6ー3広島 ( 2021年4月1日    マツダ )

<広・神>7回1死一、二塁、松山の打球を指差す阪神・秋山(撮影・北條 貴史)
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 ローテ順は6番目でも、任務は重かった。阪神・秋山は7回5安打2失点の力投。責任感にじむ姿でチームの連敗を止めるとともに、昨年から続く自身の広島戦連勝を5に伸ばした。

 「チームが3連勝して連敗していたんで、そこを一番気をつけたというか、3連敗するわけにはいかないなというのは強かった」

 快挙すら予感させるペースで凡打を量産した。序盤からカーブ、カットボール、フォークを高低に投げ分ける投球を展開。5回まで1人の走者も許さない完全投球で流れを引き寄せた。「(無安打は)4回に気付いて。めったにないことだったんで、自分から野手には“気にすんなよ”という話はしてました」。高まる緊張感をよそに、広い視野でナインとともに目の前のアウトを奪いにいった。

 6回にクロンに初安打を浴び、7回も2失点。決して本調子とは言えない中でも粘投し「良くなかったけど、何がダメというのもなかったので。うまく梅野もリードしてくれたし、まんべんなく投げられた」と今季初勝利をかみしめた。矢野監督も「アキがしっかりした投球をしてくれたのは一番の勝因だと思う」と目を細めた。

 昨季、11勝と飛躍しても充実感は口にしなかった。シーズン終了とともに取り組んだのは、左足の歩幅の変更。20年は手術した左足の状態を考慮して「6歩」だった踏み込みをを「6歩半」に伸ばすべく、都内で単独トレーニングを敢行し股関節など、必要な部位を鍛え直した。「昨年は正直、楽して狭めていたんで。しっかり挑戦していかないといけない部分。広がれば間(ま)ができるんで」。冬場もブルペンに入り、マウンドに付いた足形をスマホで撮影。昨年12月の時点で6歩半にたどり着き「ここまで来た」と最低ラインを体に染みこませた。

 「やっぱりあそこ(7回)を0で行くことができていれば、8回も投げられていたと思う」。8回…完投も見据えていた。まだまだ、こんなものじゃない。半歩先にある進化を追い求める1年が始まった。 (遠藤 礼)

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