東海大相模・石田が0封締め 6回途中から好救援で池田・水野以来38年ぶり防御率0.00V飾った

[ 2021年4月2日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会最終日 決勝   東海大相模3ー2明豊 ( 2021年4月1日    甲子園 )

<東海大相模・明豊>9回 サヨナラ勝利で優勝を決め、ブルペンで歓喜する東海大相模・石田(右は明豊・栗木)(撮影・成瀬 徹)
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 出番は予想通りピンチの場面だった。2―2の6回2死一、二塁。3番手でマウンドに上がった東海大相模(神奈川)の石田隼都は明豊(大分)の3番・竹下聖人を低めのチェンジアップで力ない遊飛に斬った。9回まで無失点でサヨナラ勝ちを呼び込み「厳しい場面で出ると思っていた。しっかりコースに投げられた」と胸を張った。

 栃木・真岡ボーイズ監督時代に石田を指導したのは朝山憲重さん(55)。83年夏の甲子園ではPL学園の主将として全国制覇を経験した。2学年下の桑田(現巨人投手チーフコーチ補佐)の後ろを守った経験を踏まえ、さらに石田の将来も壊さないように指導。「桑田も高校時代は真っすぐとカーブ(の2球種)。肘、肩に負担がかからないようにチェンジアップを教えた」と回想する。磨きをかけた宝刀は今大会で9個の三振を奪った。

 「1週間500球」の球数制限が導入された大会で全5試合に登板。先発だった過去2試合はともに完封するなど29回1/3で403球を投げて無失点、45三振を奪った。優勝から逆算して先発、救援、イニング数まで緻密な計画を立てた門馬敬治監督は、この日の試合前に左腕に救援起用を伝え「石田の将来もある。つないで最後は石田という起用になった」と経緯を語った。

 「もっといい投手になって夏に戻って来たい」と石田。70年以降の同大会で20回以上を投げて無失点に抑えた投手はおらず、防御率0・00での優勝投手は83年の池田・水野雄仁以来38年ぶりの快挙。夏の楽しみが増えた。(川島 毅洋)

 ◆石田 隼都(いした・はやと)2003年(平15)4月5日生まれ、栃木県出身の17歳。小3から野球を始め、真岡中では硬式の真岡ボーイズでプレー。東海大相模では1年春からベンチ入りし、1年夏と2年夏の交流試合で甲子園のマウンドを経験。趣味はアニメ観賞。1メートル83、73キロ。左投げ左打ち。

 ○…東海大相模・石田は5試合(先発2、救援3)全てに登板し29回1/3を無失点。優勝投手で大会を通じて無失点だったのは4試合連続完封で優勝した38年の野口二郎(中京商)、40年の大島信雄(岐阜商)、52年の田所善次郎(静岡商)に次いで4人目。また優勝チームに限らず70年以降に20回以上を投げた投手で無失点だったのは石田が初めてだ。

 ○…東海大相模は春3度目、春夏通算5度目の優勝。春3度は東邦5度、中京大中京4度に次ぎ横浜、PL学園、大阪桐蔭などに並ぶ3位タイ。春夏通算5度は横浜、東邦に並ぶ6位タイとなった。また、東海大相模は昭和で1度、平成で3度、令和で1度の優勝となり3元号での甲子園優勝は大正、昭和、平成で優勝した松山商に次ぎ2校目だ。

 【OBも祝福】▼広島・田中広(07年度卒)やっぱりうれしいです。この大変な中で、一生懸命やっている姿に僕も頑張らないといけないなと思いました。励みになりました。

 ▼日本ハム・大田(08年度卒)プロ野球もそうですが、いま野球ができている喜びと、たくさんの方々に支えてもらっている感謝の気持ちを改めて感じさせてくれる優勝でした。

 ▼DeNA・田中俊(11年度卒・前回センバツVメンバー)最後まで諦めずに戦う姿勢は素晴らしいと思います。大変な状況の中で一生懸命プレーする姿に僕も頑張らないといけないな、と思います。

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