東海大相模　サヨナラで10年ぶり3度目V　門馬監督「2年分の春」制した令和初代王者

第93回選抜高校野球大会最終日　決勝   東海大相模3ー2明豊 （ 2021年4月1日    甲子園 ）

＜東海大相模・明豊＞サヨナラで10年ぶり3度目の優勝を決め、歓喜の東海大相模ナイン（撮影・坂田　高浩）
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　決勝が行われ、東海大相模（神奈川）が明豊（大分）に3―2でサヨナラ勝利。10年ぶり3度目の優勝を飾った。昨年はコロナの影響で大会が中止となり2年ぶりの開催。門馬敬治監督（51）は次男・功外野手（3年）と父子鷹Vを果たした。春夏通じて初の決勝に進んだ明豊は、大分県勢では67年の津久見以来2校目の優勝はならなかった。

　同僚だけでなく、先輩の思いもバットに込めた。小島大河の強い打球が遊撃手のグラブをはじき、外野に抜けた。ナインの喜びがはじける。心地よい春風が吹く聖地で10年ぶりの頂点。門馬監督はインタビューで全国の球児、関係者の思いを言葉に乗せた。

　「開会式の時に仙台育英の主将が“2年分の春”という表現をしてくれました。まさに2年分の春。高校野球がこの甲子園に戻ってきたと思っています」

　昨年はコロナ禍で春夏の甲子園が中止。3年生は勝って喜ぶことも、負けて泣くことも許されなかった。歓喜の瞬間は2―2の9回。1死満塁からサヨナラ勝利を決めた。サヨナラで開幕し、決勝もサヨナラは81年大会以来、40年ぶり3度目。球児たちの「2年分の思い」が、激戦を増やしたのかもしれない。

　令和初の春王者への道のりは険しかった。昨秋は関東大会で東海大甲府（山梨）にサヨナラ負けを喫して準々決勝で敗退。東京・関東の6校目として滑り込んで順調に勝ち進んだが、準々決勝からは主将の大塚瑠晏（るあん）を急性胃腸炎で欠いた。それでもエース・石田を中心に一丸で頂点に。指揮官は「サヨナラで負け、そこから始まったチーム。サヨナラで最後を締めくくることができてうれしい」と目を細めた。

　門馬監督にとっては準々決勝で決勝弾も放った次男の功（こう）とセンバツでは初の父子鷹での優勝。「おやじさん」と慕う故・原貢氏と辰徳氏（現巨人監督）が在籍していた74～76年も甲子園に春夏4度出場したが最高成績は75年春の準優勝だった。現在も七美枝夫人（52）、長女の3人で野球部の寮に住みチームを見守る。入院して闘病を続ける大塚の代理で主将も務め、優勝旗も受け取った功は「（親子で優勝は）自分しか味わえないのでうれしい」と笑顔。アルプス席で七美枝夫人は「お父さん、格好いいよ、ありがとう」と涙した。

　春は00年、そして東日本大震災の直後に行われた11年以来、3度目の栄冠。ナインは大塚の背番号「6」のユニホームも手に記念撮影を行った。「この大会が開催されることが、本当に貴重な、価値あることと思っています」と門馬監督。たくましさを増した教え子たちと、夏に向かう。（柳内　遼平）

　◆門馬　敬治（もんま・けいじ）1969年（昭44）12月18日生まれ、神奈川県出身の51歳。東海大相模では3年時に主将を務め夏の神奈川大会準優勝。東海大を経て99年4月に東海大相模の監督に就任。センバツは00、11、21年に優勝。夏は15年に優勝。甲子園通算30勝7敗。社会科教諭。

　≪門馬監督春夏通算4度目V≫東海大相模・門馬監督は春夏通算4度目の優勝。通算4度の優勝は西谷浩一（大阪桐蔭）7度、中村順司（PL学園）6度、渡辺元智（横浜）5度に次ぎ尾藤公（箕島）に並ぶ4位タイ。春3度は前記の4監督に並ぶ最多タイとなった。また、甲子園通算30勝は史上17人目。通算勝率.811は20勝以上の監督の中では前記の中村監督.853、西谷監督.846に次ぐ歴代3位となっている。

　センバツ決勝戦のサヨナラ試合は16年の智弁学園2―1高松商（延長11回）以来5年ぶり14度目。神奈川県勢の決勝サヨナラ勝ちは春夏通じて初めてとなった。また、今大会は開幕戦の神戸国際大付―北海がサヨナラ決着。開幕戦、決勝ともにサヨナラ試合は36年の開幕戦＝岐阜商3―2広島商、決勝＝愛知商2―1桐生中、81年の開幕戦＝高松商3―2北海道日大、決勝＝PL学園2―1印旛以来40年ぶり3度目だ。

　▼東海大相模・小島大河（同点の9回1死満塁からサヨナラ打）何とかここで打ってやろうと思っていた。（感触は）覚えていない。抜けてくれという思いだった。

　▽00年春　春3度目の決勝で初のセンバツ優勝。エース筑川利希也は5試合で728球を投げ計50奪三振。当時30歳だった門馬敬治監督は「選手たちのひたむきさ、気迫で優勝できた」と涙を浮かべた。

　▽11年春　東日本大震災直後で「がんばろう！日本」をスローガンに開催された大会で伝統の強打を発揮して優勝。5試合の通算74安打は39年東邦商（愛知）の大会記録を72年ぶりに更新した。